「探索」と「検索」と「調査」 1
2008年 02月 28日
あらためて意味を考えてみると、わたしは、警察が「捜索」するような、またはNASAが惑星を「探査」するような、すご~いことをイメージしてしまうのですが、いかかでしょうか。
『大辞林 第二版』 (三省堂)では、
たんさく 【探索】 (名)スル
(1)さがしもとめること。
「広く資料を―する」
(2)罪人の行方・罪状などをさがし調べること。
「賊を―する」「―方(がた)」
一方の「検索」ですが、とくにパソコンをお使いの方なら日常語ですよね。
けんさく 【検索】 (名)スル
書物・カードなどから、必要な事柄を探し出すこと。
「索引があるので―するのに便利だ」
『情報サービス概説』 (小田光宏 日本図書館協会)のP101に、『〈探索〉と〈検索〉』というコラムが載っているのですが、なかなか興味深い内容でした。
図書館のレファレンスサービスでは、従来から〈探索〉が主流であった。ところが、オンラ
インデータベースがサービスにおいて活用する情報源として登場し、コンピュータによる情
報の検索が始まったころから、〈検索〉が併用されるようになったのである。一般的には、コ
ンピュータを用いて情報を捜し求める場合に〈検索〉を用い、マニュアル方式で情報を捜し
求める場合には、〈探索〉が用いられたのである。
《中略》
しかし、情報を捜し求める手段としてコンピュータを利用することが当然のものとなり、
また、いずれか一方を用いるのではなく、両者を組み合わせて用いることが多くなった。そ
して、〈検索〉ということばが、特殊なことばとは意識されなくなったのである。これにとも
ない、二つの語の境界はあいまいになり、〈探索〉に代えて〈検索〉を使用する者が増えて
きている。一方、微妙なニュアンスの違いを感じとり、それぞれの用法で使い分けている者
も少なからずいる。
《中略》
個別のレファレンス資料やCD-ROM、データベースを用いて情報を探し出す場合に
は、〈検索〉をあてるようにしている。一方、情報を捜し求める行為や能力などを表現する
場合には、〈探索〉が使用されている。前者は、検索戦略や検索プロセスといった用法にな
っている。後者は、情報探索行動や情報探索能力などである。
「レファレンスサービス」とは、図書館などで、利用者の問い合わせに応じ、図書の照会や検索をする業務のことです。
わたしのような門外漢には、「探索」という言葉がそもそも一般的に思えないので、図書館という業界独特の使い方かな、という印象です。
「調査」という言葉のほうが一般的ではないでしょうか。
念のため、「調査」の意味も確認しておきましょう。
『大辞林 第二版』 (三省堂)より
ちょうさ てう― 【調査】 (名)スル
事を明らかにするために調べること。また、その内容。
「災害地の実情を―する」「―団」「―官」「国勢―」
この本は1997年発行ですが、「探索」にしろ、「調査」にしろ、コンピュータを使って行われるのであれば、「検索」ということに世間一般になってしまってますよね。
この話は、もう少し明日もつづけます。