人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ニュートラルな気づき 


by honnowa
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

宇治十帖の読み方 

小学館の『新編日本古典文学全集25 源氏物語⑥』の月報に、瀬戸内寂聴の『浮舟の出家』という文章が載っています。

宇治十帖は、それ以前の光源氏を主人公とした本編の巻との相違から、紫式部でない他作説が多くでています。
仮に式部だったとしても、長期間休止してから執筆したのではないかとも言われています。
確かに読むと、式部に何があったのだろうと思わざる得なくなります。
もっとも1人の芸術家の作風が、まったく別人の作のように大きく変化するのは、絵画などでは顕著なことです。

さて瀬戸内氏は、式部本人が本編執筆後、何年も休止し、しかもその間に出家したのではないかと推察しています。
浮舟の出家の場面が、ご自身の得度の様子と比べても、描写が具体的でリアルなのだそうです。

『浮舟の出家』は以下の文章で締めくくられています。

   出家した浮舟もまた、心の丈が高くなり、出家をみじんも悔やんではいない。
   それに比べて浮舟の生きていたことを知った薫の、世間体ばかりを気にした心理や態
  度の、何と卑小に見えることか。
   この物語の終りは、いろいろな意見が出ているが、私は実に見事な結末だと思う。
   作者は筆を置き、はじめて心から笑ったのではないだろうか。

う~む、わたしは浮舟のことが気の毒で、薫を冷笑するという発想は思いもよらなかったです。
だって、薫は本当に嫌な奴だと思いますもん。
ちょっとストレート過ぎる感想でしょうか。
というか幼いかな、読み方が。
by honnowa | 2007-10-13 08:34 |