『西アジア』 (下)を読みます
2006年 11月 29日
このことは上巻の「はじめに」にも書かれていることなので、この地域の歴史を理解する上で極めて基本的かつ重要なことのようです。
時代により、エジプトなどアフリカが含まれることもあれば、バルカン半島、イベリア半島が含まれることもあります。
インドから西が全て含まれる時代もありました。
現在ではいわゆる「中東」ですが、その概念も論者のスタンスで変わるそうです。
わたしなど上巻の古代オリエント文明の成立の説明で、メソポタミアとエジプトの起源が併記されているのがちょっとした違和感で、同じ地域として捉えるのに少々時間が必要でした。
そしてあらためてアフリカ大陸はユーラシア大陸とつながっていることに気づいたりしました。
なんとなくアメリカ大陸やオーストラリア大陸のように分離して海に浮かんでいるような感じがしませんか。
もちろん知識として、スエズ運河がどこにあるのか、そのことだけを問われれば答えられますけどね。
文章的知識が形になっていない典型ですね。
わたしのように形を捉えることが苦手な方は地図を逆さまにして見ることをお勧めします。
そうすると全く初めて見る地図のように見えます。
目は固定観念を捨て、海岸線や陸の形を追おうとします。
そうするといままで見えなかったことが見えたりします。
例えば地中海が湖のように見え、その地中海を中心とした地域として見えてきます。
これは『日本の歴史 第00巻 「日本」とは何か』で網野善彦先生が紹介されている方法です。(P35~P37)
……この地図からうける印象はまことに新鮮で、ふつうの世界地図の中の日本列島とは
まったく異なったイメージをうけとることができる。……サハリンと大陸との間が結氷すれ
ば歩いて渡れるほど狭いことや、対馬と朝鮮半島の間の狭さ……を視覚的に確認するこ
とができる。
そして次の文章も、歴史を理解する上で大いに参考になると思います。
実際、海が本来、国境になじまないことは、この地図を見れば明白である。島と島の間の
どの海峡も、人と人とを隔てる一面とともに、人と人とを結びつける役割を持っており、島
々はすべて海を通じて結びついていると見ることも、十分にできるのである。