ニュートラルな気づき 


by honnowa
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前回の記事(2011/6/20)の続きです。
ベルネル選手がCCoSP3をレベル4にするにはどうすればよかったのでしょう。

前回の記事で「国際スケート連盟コミュニケーション第 1611 号」の難度レベルを読んでみましたが、難しかったです・・・
休日を丸2日費やしてしまいました。
もういやと言うほど動画をリピートしましたが、トマシュの明るい演技でなければ挫折したかもしれません。
さてその汗と涙の?結果ですが、もう一度動画を載せますので、宜しければご一緒に検証をしてみませんか。

GutsuFan様
「Patinaje artístico. Mundial 2011. Programa corto masculino (25/29) Tomas Verner」

Music
Singing In the Rain
(Choreographer: Pasquale Camerlengo)


以下丸数字は演技順に便宜上つけたものです。

① FUSp4
動画で2:00くらいからです。
ショットガンスピン(中間姿勢 バタフライの入り 右足)→クロスフットスピン(難しいアップライト 右足 8回転以上)
満たしたのは、4)右足 1)右足 8)右足
レベル4なのでもう1つ難度を満たしているはずなのですが、わかりませんでした。


② CCoSP3
動画で2:57くらいからです。
キャメル(バックエントランスで右足 9回転?)→足換え(ジャンプ 左足)→シット(左足 6回転くらい?
シット・ビハインドで難しい姿勢らしい)→アップライト(左足 5回転くらい?)
満たしたのは、4)右足 8)右足 ×3)左足 2)左足 
これだとレベル4になってしまいます。
「3)ジャンプにより行なわれる足換え」が認められなかったのでしょうか。
「テクニカルパネル ハンドブック」(シングル・スケーティング 2010/2011)のP10によると、

ジャンプによって行われる足換え:かなりの強さや技術を必要とする。ジャンプは、シットまたはキャメル姿勢から任意の基本姿勢に直接行なわなければならない。例としては、明らかなジャンプ、トウアラビアンまたはあらゆる形の“バタフライ”による足換えであって、このような足換えはレベルを上げることができる。

それに対して、

簡単な足換え:それ程には強さや技術を必要としない。例としては、踏み換え、小さなホップ、アップライト姿勢からあるいはアップライト姿勢への単純なホップ/ジャンプ。簡単な足換えはレベルを上げない。

とあります。
う~ん、どうなんでしょう。
これは今後他の選手の演技も視て、どの程度なら認定されるのかお勉強です。


③ CSSp4
動画で3:14くらいからです。
シット(簡単な姿勢→シット・フォワード 難しい姿勢 左足)→足換え→シット(シット・サイドウェイズ 難しい姿勢 右足 8回転以上)
満たしたのは、2)左足 )5左足 8)右足 もしかしたら回転速度の増加?※
これまたレベル4なのに3つしか見つけられなかったので、回転数速度を上げてみました。

「コミュニケーション第1611号」の「明確化」(P7)の「諸注意」に、

キャメル、シット、レイバック姿勢において、一旦姿勢が確立した後に明らかにスピードが増した場合には、難しいバリエーションとみなす

とあります。
最初のFUSpでの加速に比べれば、果たしてこれくらいで加速と言えるのかわかりません。
これも今後のお勉強の課題と言うことで。


さて首題の件ですが、CCoSP3をレベル4にするには、
・足換えのジャンプをもっとダイナミックにする。
または
・足換え後のシット・ビハインドを8回転する。
という結論に至りました。

シット・ビハインドの次のアップライトは2回転以上回ればよかったので、8回転回ろうと思えばできなくもなかったようにみえます。
仮にここで曲に遅れたとしても、次のスピンまで数歩移動するだけなので、距離を短くすれば対応可能だったでしょう。
とはいえ、あのアップライトの両手を広げたスピンが一番「雨に唄えば」らしい振りなので、私個人はあそこがあまり短くなってしまうのは、つまらないかな。
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by honnowa | 2011-06-21 20:21 | パフォーマンス
前回の記事(2011/6/12)の続きです。
ベルネル選手がCCoSP3をレベル4にするにはどうすればよかったのでしょう。

「国際スケート連盟コミュニケーション第 1611 号」を読むとどうも先に行なったスピンのレベル取りも確認する必要があるので、3つのスピン要素をすべてみてゆこうと思います。

以下丸数字は演技順に便宜上つけたものです。

① FUSp4
② CCoSP3
③ CSSp4

P6より「難度レベル」です。
⇒ のコメントは私のお勉強メモです。確定情報ではありませんのでご注意を。

各レベルの特徴の数: レベル2は2個 レベル3は3個 レベル4は4個

1) 基本姿勢または(スピン・コンビネーションのみだが)中間姿勢での1つの難しい姿勢バリエション.
⇒ 多分①(クロスフット・スピン? 右足 アップライト) 

2) 基本姿勢での別の難しい姿勢バリエーション.前項のものとは著しく異なるものであり、

● 足換えを伴う単一姿勢のスピン-前項のものとは異なる足で行うこと
⇒ 多分③(左足 シット・フォワード) 

● 足換え無しのスピン・コンビネーション-前項のものとは異なる姿勢で行うこと

● 足換えを伴うスピン・コンビネーション-前項のものとは異なる足および異なる姿勢で行うこと
⇒ 多分②(左足 シット・ビハインド) ③(左足 シット・フォワード)

3) ジャンプにより行われる足換え
⇒ ②(左足)はだめなんでしょうか?

4) バック・エントランス/フライング・エントランスの難しいバリエーション/フライング・シット・スピンで踏み切り足と同じ足で着氷または着氷の際に足換え
⇒ バック・エントランス: ②(右足) 
  フライング・エントランス: バタフライで①(右足)

5) シット姿勢またはキャメル姿勢での明確なエッジの変更(シット姿勢の場合にはバック・インサイドからフォア・アウトサイドのみ)
⇒ ③(左足)? 動画から明確に見取ったわけでなく、回転数で8)を満たさなそうなので。

6) 左右の足とも3基本姿勢全てを含む

7) シットまたはキャメル姿勢でのただちに続けて行う両方向のスピン

8) 姿勢/バリエーション、足、エッジを変更せずに少なくとも8回転(キャメル、シット、レイバック、難しいアップライト).左右の足とも行った場合には2回数える
⇒ ①(右足) ②(右足) ③(右足)

レイバック・スピンに対する追加的な特徴項目:
9) バックからサイドまたはその反対に1回の姿勢変更.各姿勢少なくとも3回転.(ほかのスピンの一部分としてレイバック・スピンが行なわれた場合も数える)

10) レイバック・スピンからのビールマン姿勢 (SP- レイバック・スピンで8回転してから)

バック・エントランス、エッジの変更、いずれの種類の難しいスピン・バリエーションも、レベルを上げるための特徴として数えることができるのはプログラム中で(試みられた最初のスピンでの)一度のみである.

ショート・プログラム、フリー・スケーティングとも、レベル2-4には次の要件が必須である.

a) 足換えを伴うスピン・コンビネーションでは、全ての基本姿勢を含むこと
b) 足換えを伴うスピンでは、左右の足とも少なくとも1つの基本姿勢を含むこと

足換えを伴うスピンでは、一方の足で獲得することができる特徴の数は最大2個である.
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by honnowa | 2011-06-20 18:14 | パフォーマンス
前回の記事(2011/6/11)の続きです。

サミュエル・コンテスティ選手の動画はみつかりませんでしたので、トマシュ・ベルネル選手の演技をみてゆきます。

2010-11シーズン、とてもハンサムになったような。
選手としての苦悩がそうさせたのか、プライベートが充実していたのかな。
余計なお世話ですね。

GutsuFan様
「Patinaje artístico. Mundial 2011. Programa corto masculino (25/29) Tomas Verner」


プロコフィルと項目・要素別の順位は以下のとおりです。
TES:7位 BV:2位 GOE:22位
PCS:5位 SS:5位 TR:5位 PE:8位 CH:5位 IN:4位

GOEが低かったのですね。
BVが2位でPCSも悪くないのでもったいなかったです。

・ BV:2位 1位との点差は0.3(1位と最下位の点差は16.5)
・ GOE:22位 1位との点差は11.56(1位と最下位の点差は14.94)

各要素です(要素番号は仮につけたものです。演技順ではありません)
要素1(2Aまたは3A):16位
要素2(コネクティング・ステップまたはそれと同等の他のフリー・スケーティング動作から直ちに行なう3回転    または4回転ジャンプ):2位
要素3("2つのジャンプからなるジャンプ・コンビネーション):22位
要素4(フライングスピン):10位
要素5(1回のみ足換えありの〈フライング・スピンの着氷姿勢とは異なる姿勢の〉キャメルスピンまたはシット     スピン):4位
要素6(3姿勢を全て含んだ1回のみの足換えスピン・コンビネーション):16位
要素7(ステップ):7位

冒頭の4回転は転倒にもかかわらず2位なのですね。
仮に減点の-1をここで引いても、少なくとも7位以上にはなりました。
しかし4回転に挑む選手は、きっと転倒や回転不足で点が下るのは覚悟していると思います。
(もしかしたらプルシェンコだけは考えてないかもしれませんが)
なのでベルネル選手が惜しかったのは、3Lz-3Tのセカンドのオーバーターンです。

それにしてもつくづくBV2位が惜しいですね。
正直あまり点差がないのが意外でした。
GOEとPCSがジャッジ次第という様相で、せめてBVだけは選手の日頃の努力が反映されやすいと思いたいです。
BV1位のチャン選手と比べてみましょう。

チャン選手 (演技順です)
① 4T+3T: 14.40 (要素3)
② 3A: 8.50 (要素1)
③ CCoSp4: 3.50 (要素6)
④ 3F: 5.30 (要素2)
⑤ FSSp4: 3.00 (要素4)
⑥ CCSp3: 2.80 (要素5)
⑦ SlSt4:3.90 (要素7)
合計 41.40 

ベルネル選手
① 4T: 10.30 (要素2) +5.00点
② 3A: 8.50 (要素1) 0点
③ 3Lz+3T: 10.10 (要素3) -4.30点
④ FUSp4: 2.90 (要素4) -0.10点
⑤ SlSt3: 3.30 (要素7) -0.60点
⑥ CCoSP3: 3.00 (要素6)-0.50点
⑦ CSSp4: 3.00 (要素5) +0.20点
合計 41.10

ジャンプはLzとFの差でベルネル選手の方が0.70点高く、スピンは0.40点低く、ステップは0.60点差が出ました。
スピンの要素4と5は関連があるので置くとして、要素6のコンビネーションスピンのレベルを上げる、もしくはステップのレベルを上げれば、チャン選手のBVを上回りました。
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by honnowa | 2011-06-12 16:21 | パフォーマンス
以前の記事(2011/05/19)で項目ごとの得点のバランスのよかった選手を取り上げました。
その時は各項目順位がSP順位の-5から+5位以内に収まった演技をピックアップしたものですが、今回はSP順位は無視して、各項目別順位の差を出して並べ替えてみました。

差の少なかった選手
・差1 Patrick CHAN (SP1位)
・差2 Takahiko KOZUKA (SP6位 両手)
・差4 Anton KOVALEVSKI (SP17位)
・差4 Maxim SHIPOV (SP29位 転倒・両足)
・差4 Misha GE (SP30位 両足)
・差6 Nobunari ODA(SP2位 ステップアウト)
・差6 Michal BREZINA (SP7位 オーバーターン)
・差6 Paolo BACCHINI (SP23位 転倒)

アントン・コワレフスキー選手に健闘賞を上げたくなってしまいました。

次にアンバランスだった演技をピックアップしてみます。

・差20 Samuel CONTESTI (SP18位) TR・CH:8位、BV:28位
・差20 Tomas VERNER (SP8位) BV:2位、GOE:22位
・差15 Kevin REYNOLDS (SP19位) BV:10位、GOE:25位
・差15 Brian JOUBERT (SP9位) CH:4位、GOE:19位
・差14 Alexander MAJOROV (SP28位)IN:16位、BV:30位
・差14 Ryan BRADLEY (SP12位)BV:5位、TR:19位
・差13 Nan SONG (SP20位)GOE:14位、CH・IN:27位

結構知名度のある選手が集まっておりました。
視たいような視たくないような・・・
いえいえ、何が起こったのか敢えて視て参りましょう。
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by honnowa | 2011-06-11 11:51 | パフォーマンス
以前の記事(2011/06/05)で取り上げたPCSの定義を項目ごとに細かくみてゆきます。
シングル向けの検討なので、ペア・アイスダンスの基準は省きます。

IN(曲の解釈)

  定義:
氷上の動きを通じた、音楽の独創的、創造的表現。音楽のテンポに常に注意を払いながら、テンポ・リズムを様々に使ったり、メロディ、ハーモニー、リズム、音色、歌詞、形式など音楽のニュアンスを反映させる技巧を細かく使ったりする、解釈の熟達度。

⇒演技と音楽との関わりはPEやCHで検討されるので、もしかしたらアイスダンスには必要かもしれませんがシングルにはこれ以上不要に思います。

基準IN-①(以下番号は便宜上つけたものです)
・音楽に合わせた楽な動き
  リズム、テンポ、効果的な動作、無理のない流れを通して、音楽を正確に形にしているか。

⇒PEの定義やCHの基準と重なっています。

基準IN-②
・音楽のスタイル、特徴、リズムの表現
  プログラム全体を通し、体、スケート技術を使って、音楽の特徴、様式を表現しているか。メロディ、ハー
  モニー、リズム、音色、歌詞、形式など音楽の構造に喚起される、ムード、様式、形態、主題を描写して
  いるか。

⇒IN-①と同じ。

基準IN-③
・音楽のニュアンスを反映させた技巧
  作曲家や演奏者が音楽の強度、テンポ、原動力に細かな変化をつけるために用いた芸術的手法(ニュ
  アンス)を、スケーターが、洗練された巧みな技で表現しているか。

⇒IN-①と同じ。

以上でPCSの5項目の検討は終わりです。
理念としては立派で感心しましたが、どうも実際の運用となると重複箇所が多く理念と採点項目を別立てする必要を感じました。
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by honnowa | 2011-06-10 00:11 | パフォーマンス
以前の記事(2011/06/05)で取り上げたPCSの定義を項目ごとに細かくみてゆきます。
シングル向けの検討なので、ペア・アイスダンスの基準は省きます。

CH(振付け・構成)

  定義:
バランス、統一性、空間、パターン、構造、フレーズの原理に従って、すべての動作を計画的に展開させた独創的なアレンジ。

⇒基準の後にまとめます。

基準CH-①(以下番号は便宜上つけたものです)
・均整(重点のバランス)
  構成を美しくするために、各部に等しく重点を置いているか。

⇒2008-09、09-10シーズンの浅田真央選手のタラソワ・プログラムの評価がなかなか厳しかったのはこの基準に引っかかっていたのですね。
あのゴージャスステップこそ芸術的で圧巻だったのに。
表現としてはアンバランスの妙はありえるので、バランス重視でなくてもよいと考えます。
また現実には難しいジャンプを最初に済ませ後を楽にするプログラムもあれば、後半のジャンプの得点が高くなることを狙って構成を組む場合もあります。
どちらにしろ前回の記事(2011/06/08)に書いたように感動が伝わればよく、つまらない演技と思われたら何もなりません。

基準CH-②
・統一性
  すべての動作が目的を持ってつながっているか。プログラムに統一性があるのは、ステップ・要素・動作
  がすべて音楽によって動機づけられ、また、大きくても小さくても各部がすべて全体の中で必要不可欠
  に思え、根底にビジョンがあったり、全編を貫く象徴的な意味があったりする場合である。

⇒TRを繋ぎ部分の複雑・多様な・難しい動きができているかどうかに限定するならば、CHでプログラムの統一感や音楽との調和を採点することは必要だと同意します。

基準CH-③
・公衆との空間の利用
  動作の一つひとつが、360度どの角度にいる観衆にも伝わるように行われているか。

⇒ごもっともです。
残念ながらジャッジは1辺にしかいませんけど、PEの基準⑥(2011/06/08)の観衆との目に見えないつながりを持つためにも必要です。
またSSでは多方向へのスケーティングが基準とされていますが、併せて選手の演技も他方向になされるべきでしょう。

基準CH-④
・パターンと氷面の覆い方
  パターンや移動する方向にさまざまな面白さや意味を持たせて、デザインしているか。

⇒これはSSやTR、また上記の基準CH-③と重なります。

基準CH-⑤
・フレーズとフォーム
  動作が音楽のフレーズに合わせて構成されているか。フレーズとは、1つの衝動によって起こされ、展
  開し、帰結するまでの一連の動作。1つのフレーズは、楽に自然と次のフレーズへ流れる。フォームとは、  適当な数と順序のフレーズによって表現されたアイデア。

フレーズについては音楽との調和と言うことで基準CH-②と重なります。
フォームについてはフレーズの数と順序が大切なのでなく、その表現されたアイデアが重要なので、以下の基準CH-⑤と併せて採点すればよいと思います。
それにしてもFSでせいぜい4分ほど、しかも数々の規定要素を織り込まなくてはならないのに、まるで本格的舞踊かと思われるほど詳しくみようとするものなのですね。
実際に試合の流れの中でそこまでみているのか、ジャッジにそこまでの見識があるのか不明ですけど。

基準CH-⑤
・趣旨、動作、デザインの独創性
  動作とデザインについて個々に見通しを持ち、音楽や根底にあるビジョンから喚起される独創的な構成
  を追及しているか。

⇒オリジナリティは大切です。
ここはしっかりと採点してもらいたいです。
前の記事(2011/06/08)の基準PE-③もここに含めればよいでしょう。

またオリジナリティの重要さは振付けに限らず、音楽、衣装にも当てはまります。
音楽、衣装の優劣は採点に加えなくてもよいのですが、経済的に豊かなTOP選手たちには新しい素材の衣装とか、有名曲でなくあえてこれまでフィギュアで使われなかった音楽を取り上げて、後に続く選手たちの道標になって欲しいと願います。

ここで私流に定義をまとめますと、実際に採点すべき内容は、
・プログラムの統一感
・音楽との調和
・360度全方位の演技
・独創的なアレンジ
となりました。
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by honnowa | 2011-06-09 21:00 | パフォーマンス
以前の記事(2011/06/05)で取り上げたPCSの定義を項目ごとに細かくみてゆきます。
シングル向けの検討なので、ペア・アイスダンスの基準は省きます。

PE(演技力)

  定義:
音楽や振付けが意図するところを表現するための、肉体的、感情的、知性的な関わり。また、動きの質と正確さ。ペア、アイスダンスでは動作の調和も含む。

⇒文面だけみると観念的になるので、先に基準から考えたいと思います。

基準PE-①(以下番号は便宜上つけたものです)
・肉体的、感情的、知性的な関わり
  どの種目でもスケーターは、音楽を充分に理解し、心の底から、全身で、すべての動作を行わなければ
  ならない。

⇒ごもっともです。
試合に出るほとんどの選手は全力を尽くしています。
もし仮にそうでない選手がいた場合は(仮にでなく現実にいましたよね)、減点されてしかるべきだと思います。
しかし減点するにしても加点するにしても、PE項目で問うことでしょうか?

基準PE-②
・身のこなし
  身のこなしとはトレーニングされた体内の強さで、これによって体の中心からの動作を楽に行うことが
  でき、姿勢は一つの動作から次の動作へ流れるように移る。

⇒これは要素とTRで採点されるものでしょう。

基準PE-③
・スタイルと個性
  スタイルは、音楽によって喚起される独特なラインや動作。
  個性は、個々の好みと芸術的志向とが結びついて、プログラムの概念、様式、内容にもたらされるもの。

⇒これはCH(振付け・構成)で問うことでは?

基準PE-④
・動作の明瞭さ
  明瞭さは、洗練された体・手足のラインと、動作の正確な実施とによって特徴づけられる。

⇒これは要素とTRで採点すればよいと思います。

基準PE-⑤
・多様性とコントラスト
  テンポ、リズム、勢い、大きさ、高さ、動作の形、角度を様々に使ったり、対比させているか。

⇒TRとCHで採点すればよいでしょう。

基準PE-⑥
・投影(プロジェクション)
  エネルギーを発し、観衆と目に見えないつながりを持っているか。

⇒これは重要です。
これなくしては鑑賞に値せず、感動も生まれません。

ここで定義に戻りますが、PEで大切なのは選手の演技がジャッジや観衆に何かしらの感銘を伝えたか、伝わったかです。
実際に何が伝わったのか、音楽や振付けが意図するものが伝わったのかどうかは、受け手の感性に拠るものですし、人それぞれの鑑賞の自由の余地を残すためにも不問に付すべきだと思うのです。
また「動きの質と正確さ」の部分は他の項目で採点すればよいでしょう。
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by honnowa | 2011-06-08 18:25 | パフォーマンス
以前の記事(2011/06/05)で取り上げたPCSの定義を項目ごとに細かくみてゆきます。
シングル向けの検討なので、ペア・アイスダンスの基準は省きます。

TR(要素のつなぎ)

  定義:
すべての技術要素をつないでいる、多様で複雑なフットワーク、ポジション、動作、ホールド。シングル、ペアでは技術要素の出入りも含む。

⇒この定義にフットワークが含まれているのはSSと被ります。
また「技術要素の出入りも含む」とありますが、ジャンプの場合、「1) 予想外の/独創的な/難しい入り」「5) (四肢を)十分に伸ばした着氷姿勢/独創的な出方」と、『ISUコミュニケーション第1611号』の「Ⅲ.シングル/ペア要素の+GOE採点ガイドラインの更新(プラス面)」に明記されていますから、これもニ重採点です。

  基準:
・多様さ
・難しさ
・複雑さ
・質

⇒ごもっともです。
でも実際の採点では多様で難しく複雑に動く人をあまり評価していないように見受けられるのですが・・・

要素のつなぎは音楽に合わせて長くなったり短くなったりするが、ブレード、体、頭、腕、足を充分に使い、クロスカットは最小限に止めるべきである。

⇒ごもっともです。
但しクロスカットについては本来はSSで評価すべきではないでしょうか?
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by honnowa | 2011-06-07 16:50 | パフォーマンス
前回の記事(2011/06/05)で取り上げたPCSの定義を項目ごとに細かくみてゆきます。
シングル向けの検討なので、ペア・アイスダンスの基準は省きます。

SS(スケート技術)

  定義:
全体的なスケーティングの質。すなわち、エッジをコントロールする能力と、エッジ、ステップ、ターンなどのスケート技術を用いて示された氷面上での流れ。また、それらの技術の正確さ。無理な力を使わずに加速したり、スピードを変化させたりする能力。

⇒これがフィギュアスケートで最も大切であることは、素人でもわかります。
これがなければ、ただの氷遊びに過ぎず、フィギュアスケートというジャンルが成立しません。
しかしこの技能の習熟練達度を測るためにスピンやステップが必須要素になっており、何を何回行なったかで4段階のレベルが設定されています。

基準SS-①(以下番号は便宜上つけたものです)
・バランス、リズミカルなひざの動き、足運びの正確さ
⇒重要です。
しかし要素部分なら要素で、つなぎ部分ならつなぎで判定できます。

基準SS-②
・流れと楽な滑り
  リズム、強さ、クリーンなストローク、傾きを効率よく使って、ブレードに安定した滑りを伝えているか。ま
  た、体重をうまく乗せることで、無理な力を使わずに加速しているように見えるか。
⇒SS-①と同じ。

基準SS-③
・ディープエッジ、ステップ、ターンのクリーンさと正確さ
  クリーンでよくコントロールされたカーブ、ディープエッジ、ステップを見せているか。
⇒SS-①と同じ。

基準SS-④
・パワー、スピード、加速の多様さ
  多様とは段階的に変化させていること。
⇒SS-①と同じ。

②から④が、現在スピードスケート系選手がもてはやされているポイントなのですね。でもこのタイプの選手は加速の多様はないような。
P選手の場合シーズン初めは、スピードがありすぎて暴走をコントロールできずに転倒していたし、世戦はスピードを少し落して(それでもとても速いです)転倒しませんでしたが、速すぎるにしろ、ちょうどよいにしろ、一定速が持ち味という印象です。
某女子選手は最初がTOPスピードで後は疲労に応じて自然減速してゆくだけですよね~

基準SS-⑤
・多方向へのスケーティングの熟達度
  フォアとバック、時計回りと反時計回り、すべての方向へスケートし、回転も両方向にされているか。
⇒フォアとバック:某掲示板にフォアとバックのストローク数を数えている方々がいますが、この基準があるからなんですね。
これは誰の目にも明らかでわかりやすい基準になるので、採点方法を具体的に検討したいところです。
⇒時計回りと反時計回り:2011-11シーズンではステップの難度レベルに「2)完全に体が回転する両方向(左と右)への(ターン、ステップによる)回転。各回転方向とも全体でパターンの少なくとも1/3はカバーすること」、「5)難しいターン(ロッカー、カウンター、ブラケット、ツイズル)の組み合わせ。両方向で素早く行なわれる(シークェンス中に少なくても2か所)こと」(ISUコミュニケーション第1611号)とありますから、要素で採点基準にあるうちはニ重採点にならないよう、SSでは加味しなくてよさそうです。
ちなみに今シーズンは2)は継続ですが、5)は「シークェンスの中に素早く実行する、難しい3つのターン(ロッカー、カウンター、ブラケット、ツイズル、ループ)の組み合わせ。異なるもの2つ」となりました(同1672号)

基準SS-⑥
・片足スケーティングの熟達度
  両足スケーティングだけではいけない。
⇒2010-11シーズンではステップの難度レベルに設定されています(同第1611号)し、今シーズンも継続です(同1672号)
そうすると要素で採点基準にあるうちはニ重採点にならないよう、SSでは加味しなくてよさそうです。


こうしてみるとSSは単に採点用の一項目に留まらず、高いスケーティングスキルとはどういうものかを示す目標みたいなもののようです。
それがどう実行されているかを計るために要素の方の難度レベルが設定されていると感じました。
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by honnowa | 2011-06-06 14:31 | パフォーマンス
謎だらけのフィギュアスケートの採点。
PCSの各項目についても以下のように把握していましたが、ジャッジの採点を見ると面食らうばかりです。
言葉の定義が違っているとしか思えません。

PCS 構成点
SS スケート技術
TR 要素のつなぎ
PE 演技力/遂行力
CH 振り付け
IN 曲の解釈

額面どおりに受け取ると首を傾げることばかりです。

そこでルールブック上の正確な定義が知りたくなり探してみました。
日本スケート連盟のサイトを探してみると、PCSについて掲載されていたのは
「ISUコミュニケーション第1207号」でした。
これはソルトレークオリンピックの後(翌シーズン終了後、翌々シーズンに向けて)新たに採用された新採点方を通知したものです。
この文書以降さまざまなルール改訂がなされ、PCSの定義についてもISUのHPには「08A」なる2004年7月31日付け文書がUPされていますが、これの公式和訳が見つかりません。
そこで今回は個人サイトに掲載されていた「08A」の内容を引用させていただき、お勉強したいと思います。


「フィギュアスケート資料室」様より
構成点の基準(全種目共通)2004.9.17
http://www.geocities.co.jp/Athlete-Athene/9074/index.html

《スケート技術》

  定義:
全体的なスケーティングの質。すなわち、エッジをコントロールする能力と、エッジ、ステップ、ターンなどのスケート技術を用いて示された氷面上での流れ。また、それらの技術の正確さ。無理な力を使わずに加速したり、スピードを変化させたりする能力。

  基準:
・バランス、リズミカルなひざの動き、足運びの正確さ
・流れと楽な滑り
  リズム、強さ、クリーンなストローク、傾きを効率よく使って、ブレードに安定した滑りを伝えているか。ま
  た、体重をうまく乗せることで、無理な力を使わずに加速しているように見えるか。
・ディープエッジ、ステップ、ターンのクリーンさと正確さ
  クリーンでよくコントロールされたカーブ、ディープエッジ、ステップを見せているか。
・パワー、スピード、加速の多様さ
  多様とは段階的に変化させていること。
・多方向へのスケーティングの熟達度
  フォアとバック、時計回りと反時計回り、すべての方向へスケートし、回転も両方向にされているか。
・片足スケーティングの熟達度
  両足スケーティングだけではいけない。
・(ペア、アイスダンスで)ユニゾンの中で両者が示す、技術熟達度の等しさ
・(コンパルソリーダンスで)氷面の覆い方

《要素のつなぎ》

  定義:
すべての技術要素をつないでいる、多様で複雑なフットワーク、ポジション、動作、ホールド。シングル、ペアでは技術要素の出入りも含む。

  基準:
・多様さ
・難しさ
・複雑さ
・質(ペア、アイスダンスではユニゾンを含む)
・(ペア、アイスダンスで)両者の仕事量のバランス
・(アイスダンスで)ダンスホールドの多様さ
  サイドバイサイドやハンドインハンドに偏らないこと。
要素のつなぎは音楽に合わせて長くなったり短くなったりするが、ブレード、体、頭、腕、足を充分に使い、クロスカットは最小限に止めるべきである。

《演技力》

  定義:
音楽や振付けが意図するところを表現するための、肉体的、感情的、知性的な関わり。また、動きの質と正確さ。ペア、アイスダンスでは動作の調和も含む。

  基準:
・肉体的、感情的、知性的な関わり
  どの種目でもスケーターは、音楽を充分に理解し、心の底から、全身で、すべての動作を行わなければ
  ならない。
・身のこなし
  身のこなしとはトレーニングされた体内の強さで、これによって体の中心からの動作を楽に行うことが
  でき、姿勢は一つの動作から次の動作へ流れるように移る。
・スタイルと個性
  スタイルは、音楽によって喚起される独特なラインや動作。
  個性は、個々の好みと芸術的志向とが結びついて、プログラムの概念、様式、内容にもたらされるもの。
・動作の明瞭さ
  明瞭さは、洗練された体・手足のラインと、動作の正確な実施とによって特徴づけられる。
・多様性とコントラスト
  テンポ、リズム、勢い、大きさ、高さ、動作の形、角度を様々に使ったり、対比させているか。
・投影(プロジェクション)
  エネルギーを発し、観衆と目に見えないつながりを持っているか。
・(ペア、アイスダンスで)ユニゾンと単一性
  上記6つの基準を満たすために、両者が等しく貢献しているか。
・(ペア、アイスダンスで)演技のバランス
・(ペア、アイスダンスで)両者の間合いに関する意識
  両者の間の距離やホールドの変化をうまくコントロールしながら行っているか。
・(ペアで)
エッジ、ジャンプ、スピン、ライン、スタイルに関して等しい技術を見せることは、視覚的なユニゾンに必要である。また、ストロークや、手足・頭の動きも同じように行い、スピード・パワー面での運動量も等しくあるべきである。

《振付け・構成》

  定義:
バランス、統一性、空間、パターン、構造、フレーズの原理に従って、すべての動作を計画的に展開させた独創的なアレンジ。

  基準:
・均整(重点のバランス)
  構成を美しくするために、各部に等しく重点を置いているか。
・統一性
  すべての動作が目的を持ってつながっているか。プログラムに統一性があるのは、ステップ・要素・動作
  がすべて音楽によって動機づけられ、また、大きくても小さくても各部がすべて全体の中で必要不可欠
  に思え、根底にビジョンがあったり、全編を貫く象徴的な意味があったりする場合である。
・公衆との空間の利用
  動作の一つひとつが、360度どの角度にいる観衆にも伝わるように行われているか。
・パターンと氷面の覆い方
  パターンや移動する方向にさまざまな面白さや意味を持たせて、デザインしているか。
・フレーズとフォーム
  動作が音楽のフレーズに合わせて構成されているか。フレーズとは、1つの衝動によって起こされ、展
  開し、帰結するまでの一連の動作。1つのフレーズは、楽に自然と次のフレーズへ流れる。フォームとは、  適当な数と順序のフレーズによって表現されたアイデア。
・趣旨、動作、デザインの独創性
  動作とデザインについて個々に見通しを持ち、音楽や根底にあるビジョンから喚起される独創的な構成
  を追及しているか。
・(ペア、アイスダンスで)趣旨に対する責任の分担
  両者が、一つの作品を作り上げることを目指し、ステップ、動作を同じくすることで、美しい構成を追及す
  ることに等しい役割を担っているか。

《曲の解釈》

  定義:
氷上の動きを通じた、音楽の独創的、創造的表現。音楽のテンポに常に注意を払いながら、テンポ・リズムを様々に使ったり、メロディ、ハーモニー、リズム、音色、歌詞、形式など音楽のニュアンスを反映させる技巧を細かく使ったりする、解釈の熟達度。

  基準:
・音楽に合わせた楽な動き(タイミング/コンパルソリーダンスでは独立した構成要素)
  リズム、テンポ、効果的な動作、無理のない流れを通して、音楽を正確に形にしているか。
・音楽のスタイル、特徴、リズムの表現
  プログラム全体を通し、体、スケート技術を使って、音楽の特徴、様式を表現しているか。メロディ、ハー
  モニー、リズム、音色、歌詞、形式など音楽の構造に喚起される、ムード、様式、形態、主題を描写して
  いるか。
・音楽のニュアンスを反映させた技巧
  作曲家や演奏者が音楽の強度、テンポ、原動力に細かな変化をつけるために用いた芸術的手法(ニュ
  アンス)を、スケーターが、洗練された巧みな技で表現しているか。
・音楽の特徴を反映させる両者の関係
  両者が、同じ程度の感受性を持ち、音楽のニュアンスの理解に至るまで、等しい関係(解釈に関するユ
  ニゾン)を築いているか。また、音楽に合わせるだけでなく、両者が互いに身を委ね、より大きなものを創
  造しているような親密さがあるか。
・(オリジナルダンス、フリーダンスで)音楽を自分たちのものにできているか。


これを一読して理解できるほど、スケート知識も国語力も持ち合わせていないのがつらいのですが、どうも採点範囲が重なっており、そこが過剰に加点されているように思えます。
例えば「スケート技術」ですが、この定義ですと要素のステップとスピンも含まれています。
また「要素のつなぎ」の定義に「フットワーク」とあるのは、「スケート技術」と重なっています。
もう少し精査したいのですが、頭がパンクしそうなので、今日はここまで。
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by honnowa | 2011-06-05 22:30 | パフォーマンス