ニュートラルな気づき 


by honnowa
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<   2007年 04月 ( 30 )   > この月の画像一覧

07/4/29の記事の続きです。

さて本題、わたしはいつ若冲を知ったのか?
再評価となった1971年の『若冲特別展観』は知りません。
これは年齢的に無理。
(生まれてはいましたけど)
ブームの火付けとなったという2000年の『没後200年 若冲』 (京都国立博物館)も知りません。
もしかしたらその時期にNHKの『日曜美術館』で放送があり、そちらを観ていた可能性はあるのですが、でもそれで若冲を初めて知ったということはないと思うのです。
作品自体を観たかは別にして、名前自体はもっと前から知っていたと思うのだけど。
図録には「夏目漱石が『草枕』で墨画の鶴を語り」と紹介しています。
へえ~、そうなんだ。
『草枕』は読んだことはありますが、若冲のくだりはまったく記憶にありません。
『青空文庫』を利用してささっと検索してみると、おお、若冲、芦雪、雪舟らの名前が登場するではありませんか。
これはぜひとも再読したいですね。

さて自前のスクラップブックを本棚から引っ張り出してみました。
わたしは1987年(昭和62年)から、実際に観にいった美術展のチラシを保存してあるのです。
ずばり若冲展でなくとも、どこかで実物を観ていて、チラシに紹介されているのではないかと期待していたのですが、一つも若冲見当たりません。
これも意外。
あれれ、わたし実物の若冲観ること自体、今回が始めてなのかも。
これはいけませんね、いっぱい観たことがあるような気になってましたよ。

実物を観ていないとなると、わたしはどこから若冲の名前を仕入れてきたのでしょう。
美術雑誌の類は立ち読み程度にしか観ないし、江戸美術についての関心はまだ最近のことなので、本を読んだ記憶もありません。
そうなると誰か他の画家の画集の解説に比較引用されているのを読んで興味を覚えたという線が濃厚です。
そこで思いつくのが田中一村です。
細密への執着と美しさという点で、若冲と画風が似ています。
久々に画集を広げると、うわあ、鳥肌というか背筋が寒くなるというか・・・
一瞬こわいのですよ、一村の絵は。
ただしばらく観ると、穏やかな静寂感に変わってくるのですが。
この辺は若冲とは違うのですね。
若冲の絵は遊びがあるというか、嬉々としています。
一村についてはまたいつか綴るとして、画集『NHK日曜美術館「黒潮の画譜」田中一村作品集』の冒頭は小林忠氏の解説でした。
やはりこの中で若冲との比較が紹介されていました。
きっとここで若冲の名前がわたしの頭にインプットされたのでしょう。
一村の展覧会を観て強烈な印象を受け、画集を買ったのは、1991年(平成3年)のことです。


伊藤若冲プロフィール  http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20060524/p2

プライス氏よりメッセージ  http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20060419/p2
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by honnowa | 2007-04-30 05:38 | 美術
昨日4/28は、愛知県美術館で行われている『若冲と江戸絵画』展の記念講演会に行ってきました。
明治大学教授の山下裕二先生による『若冲の親友 ジョー・プライス物語』です。
お話を伺っていて一番驚いたのは、若冲が世間に広く認知されるようになったのが、本当につい最近であること、そしてアカデミズムの世界ではまだまだの評価であることです。

今回の展示を観るとコレクションの質がどれほど高いかわかります。
しかも量が多い。
てっきり戦後の混乱期にまとめて流失してしまったものかと思いきや、そうではない。
プライス氏が初めて若冲の絵を手に入れたのは、1953年のニューヨーク。
大学の卒業記念にスポーツカーを買うつもりが、たまたま立ち寄ったお店で気に入り買ったのだそうで、しかも若冲ともなにも知らずに買ったのだそうです。
その絵が『葡萄図』という掛け軸、以来気に入ったものをコツコツと集められたようで、今回の展覧会のポスターにもなった『鳥獣花木図屏風』は、なんと1980年ごろとのこと。
しかもそのいきさつたるや・・・
お話の内容ここで書いていいのかしら。
やめておこう。
ただ業界ではどうということもない話かもしれませんが、素人が聞くと唖然とします。
そしてそのころでも若冲の扱いってその程度だったのね、とがっかりしました。
この絵がプライス氏のところに行って本当によかったです。

さて若冲は一体、いつ頃から広く世間に認知されるようになったのでしょう。
図録によると、在世中は高く評価されていたようです。
また第二次世界大戦前も『動植綵絵』を中心に高い評価が与えられていたそうです。
ですから忘れられていたのは戦後の一時期ということになります。
この時期は若冲だけでなく江戸文化、日本的なもの一切がっさいが捨てられた時期なので、仕方がないということですね。
さて再評価は1971年の『若冲特別展観』より始まり、2000年の『没後200年 若冲』で若冲ブームが始まったのだそうです。
ということは、わたしはいつ若冲を知ったのかしらん。
続きは明日にします。


伊藤若冲プロフィール  http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20060524/p2

プライス氏よりメッセージ  http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20060419/p2
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by honnowa | 2007-04-29 06:45 | 美術
  『鯉魚図』(図録№9) 渡辺始興
     http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20060425/p1

滝を登る鯉の図は掛け軸にはよくあります。
いわゆる「登竜門」のことです。  (『語源由来辞典』より)
モチーフとしてはありふれている中で、この絵のどこがいいかというと、鯉の一途さでしょう。
真下に落下する滝に対し、真上を睨み、まともに垂直に上ろうとする鯉。
左右のひれを大きく広げた様子は、まるでクリオネで、ちょっと子供っぽい。
子供が精一杯背伸びしてみせるような感じでしょうか。
伸びよう、登ろう、そんな溌剌さが伝わってくる絵です。
そういえば、もうすぐこどもの日ですね。
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by honnowa | 2007-04-28 05:12 | 美術
漢字の勉強だけというのも味気ないので、気に入った文章、感銘を受けた箇所なども綴ります。

  人がみごとに生きることは、むずかしいものだな。

この小説の冒頭です。
鷲摑みされる一言でしょう。
これが『楽毅』の主題ですが、同時にこの作品の品格というものも伝わってきます。


邑居(ゆうきょ)・・・むらざと。むらざとのすまい。

中原(ちゅうげん)・・・中国の黄河中流域を中心とした地域。殷(いん)・周など中国古代文明
  の発祥地。のち、漢民族の発展に伴い、華北一帯をさすようになる。

鼎(かなえ)・・・〔金瓮(かなへ)の意〕食物を煮るのに用いた金属の器。

復命する・・・命令を受けて行なった事柄の経過や結末を報告すること。復申。

羈絆(きはん)・・・〔「羈」も「絆」も牛馬をつなぎとめるものの意〕行動する者の妨げになるもの
  や事柄。きずな。ほだし。束縛。
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by honnowa | 2007-04-27 04:48 |
  『簗図屏風』(図録№10) 作者不詳
    http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20060624/p1

図録には、六曲一双の屏風は伸ばした状態で左右に並んでいます。
一隻づつ観るとそうでもないのですが、並べるとなんとも間のびして、しまりのないように観えます。
絵画は美術書や画像でなく、美術館で実物を観ることが大事という例です。
さらに愛知県美術館では、この作品を自然光のように変化する照明装置を用いて展示しています。  ( http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20070413/p1)
まだご覧になっていない方は、ぜひ会場に足を運んでください。
素晴らしい経験になりますよ。
製作当時の貴人たちのように、屏風をインテリア兼建具として部屋に置き、朝な夕なに眺めるという贅沢を疑似体験できます。
朝の光の中では金がとりわけきれいに輝きます。
午後になると、赤。
赤は左隻中央の蔦の葉の先に使われているだけですが、午後の光の中で鮮やかに主張するのです。
そして夕方は黒。
左隻の右から、右隻の左につながって簗が描かれています。
墨色の簗には苔もついています。
お世辞にも見栄えのよい小道具とはいえないものが、夕方からぐっと冴えてくるのです。
褪せた墨色が漆のように深い黒に変わります。
色や光というものは本当に繊細、微妙な不思議な存在ですね。
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by honnowa | 2007-04-26 05:44 | 美術
04/4/22の記事の続きです。

このブログをご覧の皆様へ
しばらくこのような記事が続きます。
どうか漢字検定の予習のつもり?で、気軽にお付き合いください。
それにしても自分で言うのもなんですが、正直、入力大変です。
まず、ふつうの変換では漢字出ません。
「IME パッド」で部首や総画数から見つけます。
中国の方はどんなパソコン使ってるんでしょう。
こんな大変なことを毎日の記事にするもんではないのですが、よい作品を書かれた作家の創作のエネルギーと時間に敬意を表して。

参考辞書は
    インターネットで利用できる
・ 大辞林 第二版  三省堂
    手持ちの辞書より
・ 新版 新選国語辞典 卓上版  小学館 昭和50年3月10日新版卓上版2刷発行
・ カラー版 日本語大辞典 第二版  講談社 1995年7月3日第2版第1刷発行
・ 新選 漢和辞典 新版  小学館 昭和51年3月1日新版8刷発行 
ただし意味の記載は文章中の使用範囲に限りました。
また上記辞書で調べられなかった語句は省略しました。
読みは文章にふられたルビを載せ、辞書に他に読みがあった場合は/の後ろに併記しました。

兀立(ごつりつ/こつりつ)・・・①ひときわ高くそびえていること。 ②じっと突っ立っている
  こと。

処士・・・仕官しない人。在野の人。処子。

翕合(きゅうごう)・・・集めあわせる。集める。集まる。

                   
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by honnowa | 2007-04-25 06:04 |
  『源氏物語図屏風』(図録№5) 作者不詳
    http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20060620/p2

源氏物語をテーマにした絵はたくさんありますが、この絵はそれらとは描き方で少し異なる印象を与えます。
桃源郷を思わせる金雲たなびく庭に主に描かれているのは、長い渡り廊下です。
六曲の屏風は横347.4mmで二隻(一双)あります。
春の屏風は対角線に描かれ、秋の屏風は水平ですが、途中折れ曲がって段をずらして続いているので、さらに長く見えます。
画面の端に寝殿の屋根だけが見えるので、この渡り廊下はどこに続いていくのだろうと、目が追っていくことになります。
しかし建物の全容は雲に隠されているので、何があるやらわからず、夢幻の世界をさまよってしまうのです。
その中で小さく描かれたたった三人の人物を見つけることができます。
春の屏風では、顔を扇で隠した女性が左上から、それに対し右下から渡ってくる男性。
秋の屏風は、季節の紅葉や菊の花などを載せた盆を運ぶ女童。
源氏物語で春秋とくると、紫の上と秋好中宮の春秋の争いとなるわけですが、この屏風はどうもそれらしくありません。
秋の方は、中宮から紫の上への使いとわかりますが、春の男女は一体・・・
わたしの源氏の知識はここまでなので、後は解説に頼りますと、春の場面は『花の宴』における光源氏と朧月夜の君の出会いの場面なのでした。

この二人は突然、ばったりと出会い、恋に落ちます。
物語に登場する他の女性たちが、もともと繋がりがあったり、意図的に逢おうとした結果であるのとは対照的です。
さて場面がわかってからあらためて絵を眺めると、確かに墨色の月が。
この月と、満開の桜と、渡り廊下、そして女性の顔を隠す扇、これらから『花の宴』の場面と、わかるようになっているのですね。
扇で顔を隠すというのは平安女性の嗜みで特別なことではないのですが、この出会いのあと、あわただしく二人は扇を交換して別れるため、この絵では意味のある描写なのです。
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by honnowa | 2007-04-24 06:06 | 美術
  『酒呑童子図屏風』(図録№4) 作者不詳
    http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20060616/p2  

物語の絵というものはどうしてこんなに面白いのでしょう。
大勢の人物が描き込まれているのを俯瞰するのは、どうしてこれほど楽しいのでしょう。
その仕掛けはなんといっても人を異界へと誘う、不思議な雲や霞。
この絵では金雲の中に模様が盛り上げられ、それは豪華です。
できることなら(マスクをして)息がかかるくらい傍に寄って観たかった。

ところでミニ解説です。
酒呑童子(しゅてんどうじ)とありますが、子供のことではありません。
人を食らう化け物で、赤鬼の姿で描かれます。
そして勅命を受けた源頼光らが鬼退治をするという物語です。
わたしは以前、別の展覧会で本になっているものを見たことがありますが、ストーリーをきちんと読んだことはありません。
なにやら陰陽師の安倍晴明もこの物語には登場するようですから、一度物語のほうもきちんと押さえておきたいです。
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by honnowa | 2007-04-23 06:42 | 美術
宮城谷昌光の『楽毅』には、漢字が多彩に使われています。
これは量が多いということではありません。
ページを開くと、一見ひらがなが多く見やすいです。
新聞記事ほども漢字は使われていませんし、わたしが日常漢字で綴るような字さえひらがなが使われています。
ではどういうところに漢字を使っているかというと、古代中国の物語なので、当然、人物名と地名、武器などの物の名前、役職名、それと著者が微妙なニュアンスの違いを文体を崩さずに表現したい場合でしょうか。
そして漢文を日本語に書き下したような独特の言い回しの部分。
それ以外のところでは読みやすさ優先でひらがなにしているように見受けられます。

ニュアンスの区別のための漢字の使い方ですが、たとえば「くらい」という言葉。
氏は作中(まだ読んでいる途中ですが)、 懜い、黮い、幽い、蒙いと使い分けています。
懜い、黮い、幽いは意味的にも「暗い」で統一できるのですが、どのような暗さかが違うのです。
興味のある方は辞書を引いてみましょう。
でも辞書をひも解かなくても、なんとなく字を見ていると、ニュアンスの違いわかりますよね。
漢字って面白いですよね。
どの程度「暗い」のかを文章の中で説明するというのも手法ですが、文体のテンポやリズムにも関わりますから、氏の場合は、それらの説明を全て漢字に任せたといえます。

それから漢文らしい言い回しとしては、「愁眉が解けていく」、「哂笑(しんしょう)する」など。
氏の文体は、一文が短くテンポがよい。
こういう文章はともすると単調になりがちですが、それを多彩な言い回しが防いでいます。
動作を表す言葉、感情が表情など表面に現れたときの言葉など、その豊富なボキャブラリーには目をみはるばかりです。
テンポがよいし、時代背景など必要な知識は物語の中で説明されているので、ささっと読めてしまえるのですが、それではもったいないという気がしてきました。
漢字の勉強がてら記事を綴ろうと思います。
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by honnowa | 2007-04-22 08:09 |
展覧会名   プライスコレクション  若冲と江戸絵画
場   所   愛知県美術館
期   間   2007年4月13日~6月10日
内   容   アメリカ人 ジョー・プライス氏の伊藤若冲を中心とした江戸絵画コレクション

いつもならここで気に入った作品をいくつかあげ紹介するのですが、今回は出品作のほとんどを気に入ってしまいました。
日を改めて記事にしようと思います。

ふだんでも美術館に併設された図書館に行くと、よく若冲の画集を手に取ります。
日常に見る色彩に飽きてくると、野辺の優しい自然の緑や、パソコンのカラフルな画像や、街中の雑多な物たちの色でなく、日本画つまり岩絵具の赤や青の極彩色がどうしても見たくなります。
そんなときに都合よく日本画の展覧会があるわけでもありませんし、目薬のようにすぐ目に潤いを与えてやりたいので、てっとり早く若冲の画集を見るのです。
そうやって幾つもの絵を本から記憶しましたが、今回の展覧会を観て、かなりのものがプライス氏のコレクションにあるのがわかりました。
少々ショック。
若冲だけでなく丸山応挙、酒井抱一、長沢芦雪ら、コレクションの内容が素晴らしいのです。
明治期にかなりの傑作が海外に流失してしまいましたが、昭和にもしっかり持って行かれてしまったのですね。
あーあ。

プライス氏のコレクションは観ていてとても好ましく、気持ちがよかったです。
自国の人間ですと、学術的、歴史的価値など、いろいろな価値観がコレクションの形成に影響しますから、日本人にはきっとできなかったコレクションだなと感じました。
なによりも好きなものだけ集めましたという素直な喜びが伝わってくるのです。
案の定、パンフレットの中にこんな紹介が。

  はじめのうちは、美術品をコレクションしているという気もなくて「好きなデザインのシャツが
  あるから買っちゃおう!」という感覚。しばらくたって、そのうちのいくつもが若冲の作品で
  あることを知って驚きましたが、でも、そういうことって、よくありますよね?好きでよく聴い
  ていた歌の作曲家が実は同じ人だったとか・・・この食器いいなと思ったら実はお気に入り
  のデザイナーによるものだったとか・・・

まるで「なんでも鑑定団」にでてくるおもちゃコレクターのようなコメント。
でもこれがコレクションの気持ちよさに顕れているのですね。
また行こう。


  ・公式サイト
  ・コレクションブログ  http://d.hatena.ne.jp/jakuchu/20070413/p1  
    こちらのオフィシャルブログでは出品作全109点について画像と、プライス氏ご本人に
    よる解説を見ることができます。
    
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by honnowa | 2007-04-21 07:41 | 美術