ニュートラルな気づき 


by honnowa
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カテゴリ:本( 342 )

実はこのブログは読書日記だったのだ、と久々に思い出して。

タイトル    『Newton 5月号臨時増刊 日食メガネつき 金環日食2012』
著 者     ---
発行所     ニュートンプレス
発行日     2012年5月7日発行
Cコード    ---    
内 容     (Amazonの「商品の説明」より)2012年5月21日午前、日本で25年ぶりとなる「金環日食」がみられます。金環日食とは、太陽の中央部分が月にさえぎられて、残った太陽のふちの部分が “金色の環” のようにみえる現象です。
Newtonでは、日食を安全に観察することができる「ビクセン 日食メガネ」つきの臨時増刊号を2012年3月28日に刊行しました。
動 機     日食メガネがついていたので     
私の分類   娯楽
感 想

ネットショップで買い物するのが苦手なので、近所の書店で、日食メガネと解説本を購入できてよかったです(図書カードも使えたし)
そうでなければわざわざ買わず、この世紀のイベントにTVのニュースを眺めるだけで終っていたかもしれませんし、影の写真を自分で撮ってみようという気も起きなかったでしょう。

わずか61ページに写真や図解が豊富に掲載されていて、太陽の内部構造の様子も紹介されています。
日食メガネで観た太陽は、遮光プレートで真っ黒に見える空間に浅いオレンジ色の形のはっきりわかる物体で、宇宙的というか、科学的に見えました。
それは日常の「太陽」と呼ぶよりも「お日様」に感じる、親近感や詩的なもの、明るさや暖かさ元気の源とは一線を画する姿でした。
本誌の図解を見ると、太陽とは猛々しいエネルギーの爆発そのものなのですが、日食メガネを通して観たものはその本当の姿を実感させてくれました。

解説によると日食メガネで見えるのは可視光線の部分なので、実際には浅いオレンジ(光球)の外側を厚さ約2000km、温度6000~1万℃の彩層と呼ばれるプラズマの層が包んでいるそうですが、図解でみるとまるで「地獄絵図」


さてニュートンプレスのHP上の本書の紹介ページを見ると、
http://www.newtonpress.co.jp/eclipse2012/kounyuu.html

同じ本で「2012年6月6日、今度は日食メガネで『金星の太陽面通過』を観察できます!」と紹介文が変わっておりました。

金星の太陽面通過は6月6日水曜日、朝7時過ぎから午後2時前にかけて見られるそうです。
本書によると、243年に2~4回、次に見られるのは、2117年12月11日。

また「金星食」(金星が月に遮られる)は今年の8月14日の午前2時40分ごろだそうです。
(日の出前なので日食グラスなどの道具は不要)
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by honnowa | 2012-05-23 10:46 |
タイトル    フィギュアスケートに懸ける人々  なぜ、いつから、日本はつよくなったのか
著 者     宇都宮直子
発行所     小学館
発行日     2010年1月19日初版第1刷発行
Cコード    C0295 (一般 新書 日本文学、評論、随筆、その他)
内 容     (本書ソデより)フィギュアスケートの世界を変えた天才スケート選手・伊藤みどりと名伯楽・山田満知子コーチの出会い。愛知県をスケート王国にした人々と、それを支えた学校や企業。有望選手を次々と生みだした長期的な強化戦略…。欧米に引き離されていた日本が、世界有数のフィギュアの強国に変化していくまでの歩みを、貴重な証言をもとにつづる。
動 機     フィギュアスケートが好きなので     
私の分類   娯楽
感 想

この本の感想を書こうと思っても、この本と別の本との間から垣間見える著者の考えに対して、いろいろと感じる部分があり、この本の内容についての感想にならなくなってしまいそうなので、深く印象に残った部分の抜粋に留めておきます。
頂点を極めた二人のスケーターが語った自負の部分です。

伊藤みどりさんの自負
「私は、フィギュアスケートを芸術から競技に変えました。選手にしろ、ジャッジにしろ、観客にしろ、誰もが『あの演技をされたら仕方がない』『これだけの演技を見せられれば、点数を出さざるを得ない』という演技を目指しました。ジャンプの質とか高さとか、そういったところでは、世界中の誰にも負けなかったと思っています」
「(アルベールビル・オリンピックで)女子選手として世界で初めて、トリプルアクセルに2回トライしたこと、後半に跳んだことが評価され、のちにルールに反映されたことも、私の誇りです。今、試合後半のジャンプには、1.1倍の加点がつきます。後半でジャンプを成功させるのは、やはりむずかしいので得点が高くなったのだと思います」

カタリナ・ビットさんの自負
「芸術性はフィギュアスケートの主になるものだから、美しさが演技において有利になることはあるでしょう。でも私には一生懸命練習をしてきた日々がある。誰よりも努力をした。だから、何より内面からあふれるものがあった。オリンピックで勝ちつづけていたころ、私はとても安定していて、ミスもしなかった。技術と芸術性のバランスに優れた演技が、ジャッジは好きだったのだと思います。」
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by honnowa | 2012-01-22 13:05 |

久々に図書館へ

先日久々に図書館へ行き、そしてずいぶん久しぶりにスポーツコーナーの棚をのぞいてみると、フィギュアスケート本がどんと増えていました。
以前この本を借りた時は4、5冊しかなかったのですが、今や15冊。
素晴らしい~♪
さすが味噌国。
司書さんの好みでしょうか。
それともせっせとリクエストを出した方がいるのでしょうか。
いつかその方々と書棚で遭遇したいものです。
話しかけちゃったりして。
私、けして怪しい者ではございません。

さて恩恵に与って1冊借りてきました。
『フィギュアスケート 美のテクニック』(監修:樋口豊 モデル:太田由希奈 企画・執筆:野口美惠 新書館)で、只今絶賛勉強中です。

http://www.shinshokan.co.jp/book/978-4-403-32034-7/

新書館のサイトには特設ページあり、6種類のジャンプの太田さんの実演がみられます。

http://www.shinshokan.co.jp/figure/binotechnique/

予告にある動画第2弾「ステップ」「ターン」が早く視たいです。

本の末尾には特別企画として、太田さんのナンバー「ピアノレッスン」のトレースとステップや技の種類が演技に沿って詳細に紹介されています。
ダイジェストですが、ちょうど動画も見つかりましたので。

sunrise3hill様 「Yukina Ota "The Piano"(digest)」


なんて優雅な所作。
本でも豊富に分解写真が載っていますが、どのコマのどのポーズも美しく、どれほどエレガントに腕を動かしているか軌跡が見えるようです。

さて、本つながりでもう一つ。
25日、浅田真央さんのお誕生日に『浅田真央 Book for Charity』の寄付金額が発表されました。
25,934冊で15,066,613円だそうです。

学研教育出版広報ブログより 「『浅田真央チャリティブック』募金額は1,500万円超に」

大きな金額になりましたね。
私はたった1冊分の寄付ですが、被災地への寄付だけでなく、かわいらしい本も手に入り、世界選手権前後の浅田選手の心境も伺えて、チャリティーに参加できてよかったと思いましたし、ネットや電子書籍に押されている本ですが、本に新しい可能性を広げるユニークな企画だったと思います。

『浅田真央 Book for Charity』 吉田順 1 真央ちゃんについて

『浅田真央 Book for Charity』 吉田順 2 コーチについて

『浅田真央 Book for Charity』 吉田順 3 シュニトケの「タンゴ」

『浅田真央 Book for Charity』 吉田順 4 タチアナ・タラソワ

『浅田真央 Book for Charity』 吉田順 5 究極のスケーター その1

『浅田真央 Book for Charity』 吉田順 5 究極のスケーター その2
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by honnowa | 2011-09-30 23:10 |
先に読んだ『二百十日』で、二人の男の内の片方のテーマは「華族と金持ち」でした。
「華族と金持ち」を豆腐屋にすると息巻くものの、どこか滑稽です。
家業が豆腐屋意外に男の正体は分らないのですが、本人の中では世の中への思いが阿蘇の噴火のように相当なエネルギーが胸中を渦巻いていると錯覚しているようです。
しかし漱石が描写する、男の弥次さん喜多さんのような遣り取りは、とても本気で社会転覆を起こす活動家ではないことを示しています。

さて『野分』では三者三様の男が登場します。
道也先生のテーマは「人格」です。彼の考えでは高い人格は、地位や金銭、能力、才能を上回る最高の価値です。そのために田舎の教師を三度辞め、借金で貧乏暮らしをし、妻にも謗られますが、本人はいたって飄然としています。
自分の生き方に信念があるからです。

大学を卒業したばかりの高柳君のテーマは「高等遊民でないことの不平」ですが、夢見るばかりで結局生産的なことが何もできずにいます。
生活のために積極的に働いて貧しさから脱出することもせず、かといって自分の興味をとことん追求して著作を仕上げることもできません。
大学を出ればそれだけで世間がちやほやし、仕事が舞い込み、楽に生活できると夢見ていたのが現実はそうでなく、しだいに世の中から疎まれていると思い込むようになります。
彼のテーマはともすると「金の無いことへの不平」になりがちで、金が無くても平気な道也先生の境地に畏敬の念を覚えます。

高柳君と友人の中野君のテーマは「高等遊民を邁進すること」です。
鷹揚で、円満で、趣味に富んだ秀才で、富裕な名門に生まれた彼はまるで高柳君と対極な人物ですが、なぜか学生時代から仲が良かった。
しかし大学を卒業し社会に出ると、お互いの出自の差や性格の差がもたらす現実生活の格差をそろそろ気づきつつも、けして自ら友人を見捨てない人の良さを持っています。
風雅を愛し、恋愛にも一家言持つ裕福なお坊ちゃんの中野君ですが、実は高柳君よりも現実をよく知っています。
高柳君のように大学を出てすぐに社会に認められるなどとは夢にも思わず、上が詰まっているから自分たちの時代になるまでに何年も掛かると、淡々と著作を雑誌に発表してゆきます。

高柳君の考えは浅い。
死んでもいいと気軽に考えるのも(物語中、本人は気軽ではないのだが)、道也先生のようにこの世に生まれた仕事を果たそうと思う信念もなければ、中野君のように現実を愛する気持ちもないからです。
ラストの行動も短絡的で、あくまで自己満足で周りへの配慮が明らかに欠けているのですが、本人は真面目にものすごく良い思いつきで円満解決した気持ちでいるのがなんともおめでたい。

漱石はこの物語を通して仮にも大学を卒業したインテリであるならば、金に執着するな、金銭以上の価値を持って生きろと叱咤しているように思えます。
というのも高柳君だけが自分が不幸であると苛まれているからです。

漱石が意図していたかどうかはわかりませんが、私は達観した人間や明るい人間には運がついてくるとの感想を持ちました。
中野君は幸せを絵に描いたような人物だし、『二百十日』の豆腐屋も阿蘇の噴火見物を満喫している、そして道也先生こそ実は運がいい。
奥さんは不平を表しながらも借金の工面をする、借金は本人の知らぬ間に兄が立て替えてくれている、高柳君の行動で借金はチャラになった(但し著作が世に出るかどうかは中野君次第。高柳君は道也先生の著作が中野君を否定する可能性が大であることに気付いていない。また道也先生の兄の立場を悪くすることも知る由もない)、かつて悪さをした教え子が懺悔をするという、人格至上主義の先生が報われることが起こります。
野分の吹く演説会場でのウケの良さは、道也先生に演説の才があり、今後支持者を集めそうな期待感があり、このままの自分の生き方を変えずに自分の道を邁進できそうな予感があります。
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by honnowa | 2011-09-05 00:01 |
昨日の記事で取り上げた小松左京氏の代表作「日本沈没」について覚えていることを記しておこうと思います。
断片的な記憶であやふやなのですが、ネットのない時代のことを書き残すのは有意義かなと思うのです。

Wikiによると、「日本沈没」は小説を原作に、映画(1973、2006年)、テレビドラマ、ラジオドラマ(1973、1980年)、漫画が制作されたようですが、私がみたのは原作とテレビドラマです。
原作は家にあったのか、親戚の家にころがっていたのか、クラスメートから借りたのか、なにぶん子供のころなので定かでなく、内容も全然覚えていません。
たぶんテレビ放送と同時期に読んだと思うのですが、活字を目で追っただけで、全く理解できてなかったでしょう。
記憶の断片はもっぱらテレビドラマの映像です。

ドラマの主題歌は五木ひろしさんで、私メロディー口ずさめます。

このドラマで覚えた言葉が「日本海溝」と「マントル」です。
うろ覚えですが、マントルの対流により日本の陸地が日本海溝に引きずりこまれて沈没するという設定ではなかったかと思います。
「マントル」という言葉は最近聞きません。
地震の話題で登るのは「プレート」なので確認したところ、マントルの上に乗っている固い岩板がプレートでした。

ドラマの中で潜水艇で日本海溝を調査するシーンがありました。
子供心に人間の乗った潜水艇がそんなに深く潜れることが不思議でした。
今さらですが子供時代の疑問のお勉強です。
日本海溝の最深部は8,020m、現実の大深度有人潜水調査船「しんかい6500」の潜行深度は6,500m。
「しんかい6500」は地震予知のためのプレート観測をしているようですが、Wikiによると「日本列島の太平洋側海溝で沈み込む海洋底プレートは、およそ水深6,200~6,300m付近で曲がり始めており、地震予知の研究には、それら地点の重点的観測が必要と考えられている」とのこと。

さらにWikiで「わだつみ」の頁を読むと、「日本沈没」に登場する架空の潜水艇「わだつみ」の潜行深度は1万mの設定だったようです。

ドラマの中では富士山が噴火したと思います。
そのせいか私は長らく富士山が噴火したら日本は沈没すると思い込んでいました。
もっと後で有史以来富士山は何度も噴火しており、最近では江戸時代も噴火していると知り、杞憂に終わったわけです。
それでも3月15日夜の静岡県東部の震度6強の地震は震源地が富士山のふもとで、相当ドキリとしました。
(http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110316/dst11031615000056-n1.htm)

さらに記憶に浮かぶのは、主人公の男女が地震に逃げながら握る手のアップです。
某CM「ファイトー! イッパーツ!」のような必死で握り合う構図です。
ドラマの最終回だったか、もしかしたら映画の予告編だったのかもしれません。

ドラマの最終回、人々は船に乗り次々と日本を脱出してゆきます。
その最中のシーンで中年夫婦が、自分たちの船はブラジルへ行き(確か一番大勢が移民した)天皇ご一家はスイスへ避難されるという会話をします。
子供心にやっぱり天皇陛下はいい所に行くんだなと。
もしかしたら中年夫婦もそのような台詞を言ったかもしれません。
アメリカでなくブラジルが最大の受け入れ先で、天皇陛下がスイスへ行かれるという設定は、今から考えてもまさにリアリティです。
東西冷戦時代でしたので子供の思考でもソ連と中国はありえませんでしたし、本当に日本が沈没するようなことになったら、外国は助けてくれるのかしらと、その晩寝ながら心配した覚えがあります。
お金持ちの人は飛行機で、うちの家はフェリーで避難だなとか。
過日の東日本大震災に寄せる世界中の驚くほどの支援の多さを考えると、仮に日本沈没が現実になったとして、案外と世界は助けてくれそうです。
お金を出すのと、人が押し寄せるのとは別問題ですが、お金は出せないけど、日本人なら来てもいいよと言ってくれる国もありそうです。
黄砂の発生する所とか、永久凍土のある土地とか、農地にできるのなら砂漠においでとか、温暖化で水没しそうだから一緒に土地を盛り上げようよとか。
その時私はどうするでしょう。
日本に残り最期までネットで発信できればかっこいいのですが、怖いから無理。
この先一生となると単独で好きな国へ移住する能力もなく、わがまま言わず地域の決定に従うことになるのでしょう。

最後に活字で記憶していることを。
原作の描写はまるで思い出せないのに、なぜか当時の解説か書評を覚えています。
元々小松氏が描きたかったのは、ユダヤ人のように国土を失い世界中に散らばり難民となった日本人が団結して日本国を再建する物語で、その設定のために日本沈没を思いついたものの、リアリスト故にその前設定に何百枚も費やすことになった。もしこれが星進一ならば「ある日日本が沈没した。さて……」の1行で済んでしまっただろう、というものです。
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by honnowa | 2011-08-07 11:03 |
「究極のスケーター」とはフィギュアスケーター浅田真央選手の夢です。
「究極のスケーター」とはどのようなスケーターなのでしょうか。
本書に書かれているフィギュアスケート関係者の言葉から探ってみようと思います。
内容に触れますので、まだ知りたくない方はスルーをお願いします。

初めにお断りしておきます。
本書の中には、試合を熱心に観続けた者にとっては現実とそぐわず、首を傾げたくなる箇所が幾つかあります。
著者はフィギュアスケート専門のライターではなく、今年の2月に出版された『浅田真央 さらなる高みへ』で初めて真央選手やフィギュアスケートについて取材をしたようです。(学研教育出版「広報ブログ」参照)
本書を読むと、素人である吉田さんが短い取材期間中に聞いた話を精一杯誠実に文章化したことがわかります。
頑張って丁重に書いてあると思います。
私の疑問の箇所は、あくまでISUや取材先に対してであり、けして著者を批判するものではありません。


P14、15、16より。
文章の後の〇数字は便宜上つけたものです。


日本フィギュアスケート界の重鎮で解説者の杉田秀男氏は、「ジャンプの矯正」は真央の挑戦の一部分にすぎないと語る。

フィギュアスケートのプログラムは、ジャンプを跳ぶ、スピンを回る、ステップを踏むなどの様々な技術要素が複雑に絡み合って作り上げられる。

それらの技術のすべてに、真央は一から挑戦している。杉田氏によれば、それらの技術の中でも最も大切なのは、スケーティング技術なのだという。

「スケートの基本っていうのは、やっぱり滑ること、すなわちスケーティングなんです。行きつくところに行きつけば、滑りの良さが、すべてを決します。今の真央ちゃんが挑戦していることの根本にも、高度なスケーティング技術の習得があります。佐藤さん(信夫コーチ)が大切にしているのも、まさにそこです」 ……①

たとえば、ブレードの傾斜角度を大きくする、いわゆるディープエッジ。これを身につけると、スケーティングのトップスピードが上がる。

スピードという課題は、真央自身、「強く意識し続けていること」の一つである。
「スピードを出すということは、信夫先生にも久美子先生にもよく指導されますし、乗り越えなければならない課題だと思っています」

助走スピードが上がれば、より高くジャンプを跳ぶこともできるし、飛距離も伸びる。回転も速くなって、着氷も楽になる。 ……②

助走スピードをスピンの回転速度に変換すれば、回転スピードが上がる。スパイラルでも安定感が出て、ポジションをキープしやすくなる。 ……③

それにスケーティングの技術が上がれば、それだけエネルギーのロスが少なくなる。体力を温存できるから、後半の演技でもエレメンツを楽にこなすことが出来るようになる。 ……④

(ジャッジ、解説者の)藤森氏は、「エッジをさらに上手く使えるようになれば、表現の幅も広がる」と語る。
「スケーティングは、フィギュアスケートにおいて最も大切な表現ツールです。エッジワーク技術をさらに上手く使えるようになれば、より深く、幅を持って、曲の持つ魅力や、そこから受け取った自分の感情を表現できるようになるんです。つまり、真央ちゃんの良さが、もっと引き立つようになる」 ……⑤

ただ藤森氏によれば、高度なエッジワーク技術の習得は、そう簡単ではないという。たとえばディープエッジなら、ブレードとともに傾いた体を支えるため、足首とひざを柔軟かつ緻密に使いこなして、バランスを保たなければならない。

「完成度の高いエッジワーク技術の習得には時間がかかります。どんなすごいスケーターだって、時間をかけて円熟させていく必要があるんです。このことは、真央ちゃんも例外ではありません」

そのことは、真央にもよく分かっていた。
「決して簡単ではないし、時間がかかることも分かっていました。でも、やっぱり挑戦したい。教えてもらったことを、少しでも試合に生かしたいと考えていました」


 そのとおりだと思います。でも現実の試合の採点では特に女子で、どうしてこの人のSSが高いのか不思議な人がいますよね。
それとこの発言を裏返せば、「浅田選手はまだまだ高度なスケーティング技術を習得しなくてはならない」ということになりますが、現状でも十分高いスキルを持っているのに、プロが理想とする高い技術とは果たしてどのようなスケーティングなのでしょう。

 浅田選手はスピードが速くないと指摘されることがありますが(本当に遅いのかどうかは知りません)、彼女は高く跳ぶジャンプで、早く回転しています。
ジャンプの上手さで定評のある安藤選手はハイジャンパーではありませんし、スピードが売りの某メダリストは幅跳びジャンプです。
ジャンプと言えばやはり往年の伊藤みどり選手が思い出されます。
彼女は助走のスピードは速く、ジャンプの高さも幅も男子並でしたが、回転はゆっくりでした。
現在の採点では着氷後の流れが重視されており、結局回り切って流れるかどうかであり、ジャンプそのものは選手の体型や筋力、くせなどで個性が分かれるところで、一概にスピードがあればいいものでもないように思います。
スピードが高く評価されている男子チャンピオンは、シーズン前半転倒ばかりしていましたが、あれはむしろスピードがありすぎて制御できていませんでした。
世戦で転倒しなかったのは、スピードをこれまでよりセーブしていたからです。

 浅田選手はスパイラルは既に抜群の安定感、美ポジキープ力があります。
むしろFS「愛の夢」のラストは、助走もなく6秒間キープと小回り周回をやってのけました。
これぞ柔軟性と筋力、そしてスケーティング技術の賜物でしょう。

 これを読むと浅田選手は現状でも十分スケーティング技術が高いことになりませんか。
今年の世戦のみ残念でしたが、09-10シーズン、10-11と彼女は体力のいるフリーの後半で男子並のステップをこなしました。
ジャンプの成否はともかく、スタミナ切れや体力不足は微塵もなく、女子選手では最もタフです。

 この箇所に当てはまるのは、高橋選手とコストナー選手ぐらいしか思いつきません。
TOP選手でも当てはまらない人が多い。
曲の持つ魅力や、そこから受け取った自分の感情表現が素晴らしいのは、プルシェンコ選手と安藤選手ですが、2人ともエッジワークを絶賛されているのを聞いたことはありません。
エッジワーク使い№1の男子と女子選手は、果たして豊かな表現者なのでしょうか。
男子は難しいプログラムをこなせる技術者だと思いますが、私には彼の演技は一本調子でつまらない。
女子は何をやってもワンパターンで有名ですよね。
世戦SPでは有名な原作がある曲を採用しながら、結局いつもの表現力でした。

プロが考える理想のスケーターは、採点という現実問題と乖離しているように思えてなりません。
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by honnowa | 2011-07-10 21:50 |
前回の記事でシュニトケ「タンゴ」の衣装について言いたい放題書いてしまいましたが、私はタチアナ・タラソワの芸術至上主義的なプログラムが大好きです。
マダム・タラソワはそれでいてお茶目でやんちゃな方ですよね。

本書にも嬉しいエピソードが載っていました。
世界選手権のサブリンクでの浅田選手との再会の時のこと、
「来シーズンは必ず、トリプルアクセルを(ショートとフリー合わせて)3回跳んでちょうだいね。それができるのは、世界であなたしかいないんだから」(P59)

熱い人だ~
芸術性重視な方なのに、スポーツであることも忘れていない。
いえ、彼女の考える芸術とは技術を尽くした上で成立するものなのでしょう。
こんな調子でヤクディンもけしかけていたんですね。
タラソワさんはまさに男子選手向けコーチですが、真央ちゃんにはどこまでもこの方に付いて行って、究極のプログラムを目指してほしいです。
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by honnowa | 2011-07-09 12:10 |
えーと、プレゼントするのは私ではありません。
たまたまネット逍遙していたら、高橋大輔選手の本の紹介と、サイン本をプレゼントしてくれるサイトがありましたので、ご紹介です。

  「新刊JP」様より > 新刊ラジオ > 新刊ラジオ第1426回「「SOUL Up」 「SOUL Up Exhibition」

「新刊ラジオ」を聴いてみましたが、本の紹介をラジオ(Podcasting)で聴くのは結構面白かったです。
ナビゲーターさん、スケートファンではないものの、なかなかの目の付け所です。
お弁当の件は、今流行りとか性格とかでなく、体調管理とウェートコントロールというアスリートらしい切実な問題があるので、そこだけちょっとわかってもらいたいかな。
(特に「ご意見」は送りませんが)
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by honnowa | 2011-07-06 13:10 |
2010-11シーズンのSPであるシュニトケの「タンゴ」については、本書を読む前からタチアナ・タラソワの意図を探っていたので、この機会に綴っておこうと思います。
内容に触れますので、まだ知りたくない方はスルーをお願いします。
今回は私の空想部分がかなりを締めているので、くれぐれも本書に書かれていることと誤解されないようお願いします。


前シーズン、浅田選手はジャンプ修正による技術の組み立て直しにより、完璧なの演技をついに披露することなく終わってしまいました。
それでもFS「愛の夢」は四大陸選手権でセミ完成版ができ、私はそれなりに満足を得たのですが、SPの方はジャンプもさることながら、曲のイメージを固めることがついにできなかったように見えました。
その一端は衣装にも現れ、FSが2着目で固定したのに対し、SPは4着替え、そのいずれもイメージが嵌っていたとは思えませんでした。
みなさんはどの衣装が良かったでしょうか。
私は強いて選べば、全日本の通称「薔薇ジャー」です。
ちょうど全ての衣装の演技を1本の動画にまとめて下さった方がいらっしゃいましたので視てみましょう

wice2018様 「浅田真央(mao asada) 10-11 SP 5種類の衣装で ミラクル・タンゴ!」


「薔薇ジャー」は動画の冒頭と最後です。
初見はギョッとしましたが、それでも胸の赤の位置と分量のバランスがうまく取れています。
薔薇ジャー以上に物議を醸した世戦の衣装も上半身の赤のおかげで暗くなりすぎるのを免れています。
(赤い布は背中も前部と同じようにして、スカート部の赤は無くすか後に垂らしたほうのがよかったかな)
それに対してGPシリーズと四大陸の2着は光り物を加えても、どうしても印象が翳って見えます。
(ノースリーブで上半身の黒の分量を減らすと良かったかも)
しかしどのみち「タンゴ」の曲に合っていたとは思えませんでした。

そもそもタラソワさんはこの難しい曲を浅田選手にあてがって、何をさせたかったのでしょう。
大人の女性のセクシーさや格好良さを表現をさせたかったのでしょうか。
それならばもっとラテン的なダンス曲らしいタンゴでよかった。
それとも退廃的な色気の演出だったでしょうか。
何人・組かの若手が使ったのがジャズの「Feeling Good」です。
浅田選手にやってもらいたかったわけではありませんが、例えばこの曲なら狙いはわかりやすいです。

比較例に同じ世戦に出場したスウェーデンのヨシ・ヘルゲソン選手のFSの動画です。
まだ17歳でした。

RiservaISUMosca2011様
「ISU Mosca 2011 -11/27- LADIES FS - Joshi HELGESSON 30/04/2011」


Music
Palladio by Karl Jenkins
Feeling Good
Palladio by Karl Jenkins
(Choreographer:Susanne Seger, Stanick Jeanette)

曲は3部構成で動画の1:54から3:48あたりが「Feeling Good」です。
衣装も浅田選手と似ています。
(浅田選手の世戦の衣装、申し訳ありませんがヘルゲソン選手が着たほうが似合いそう)

こうしてシュニトケの「タンゴ」のテーマは何か、そしてどんな衣装なら合っていたのか、いろいろ考えをめぐらせてゆくうちに私が辿り着いたのは、貴族社会の崩壊と悲劇に繋がるような退廃美で、衣装は、形は「愛の夢」のような長袖、ハイネック、背中を大きく開けたもので、スカートは左右の片側だけ長くしたタイトでシンプルに、色はチョコレートのCMに着ていたような濃い目のシャンパンゴールド、布地の表面をラインストーンとレースでゴージャスに飾ったものが似合いそうと、ファンの手前勝手な妄想を楽しんでいたのですが、・・・

本書により私のイメージは完全に違っていたことがわかりました。
どうせ、どうせ素人の感性ですから・・・ こういうのもまた愉しいさ。

真央ちゃんは初めてこの曲の音源を聴いた時に「拍子が刻まれるごとに力が沸いて来るような、エネルギッシュな曲。それに、今まで滑ったことのない、独特のリズム」(P35)と感じたそうです。
確かに「今まで滑ったことのない、独特のリズム」ですが、「力が沸いて来るような、エネルギッシュな曲」かと問われると、私にはよくわかりません。
私の第一印象はエキセントリックでちょっとミステリアスで、スケートでも陸上のダンスでもまるでイメージがわきませんでした。

「自分が滑っている姿を想像して、心がすごくわくわくしたんです。タンゴはやったことがなかったですし、聴いた瞬間に、『これだ』って思いました」(P35)
えっ! えっ! タンゴは試合ではないけど、とても評判の良かったEXプロがあったじゃない?
私のつっこみはともかく、真央ちゃんは即座に滑る姿をイメージできたようです。
彼女が捉えたイメージが、初披露した中国のアイスショーでの格好良さだったのか、と今、記事を書きながら気付きました。
ショーの練習動画も含めて、あの演技は確かによかった。
完成すればこのプロはどれだけすごいことになることやらと、大いに期待して試合が始まるのを待っておりました。
そうそう、男装の麗人風衣装もよいかもと思ったわ。

その期待を抱いて試合初戦のNHK杯を観に行ったので、演技の自信のなさもさることながら、ややかわいい衣装にも首をかしげてしまいました。
そこでまた想像を逞しくして、今回タラソワさんは衣装を真央ちゃんに任せたのではないかと考えたのです。
自主性を重んずるというか、感性を磨く修行として。
1着目は真央ちゃんが考え(おなかのチャームポイントがいかにも彼女らしいのと、全体的には無難路線)、2着目は舞ちゃんが考え(大胆セクシーも抵抗なさそうな感じ)、決め手がなく3着目は地元の業者さんに依頼してみて、みかねたタラソワさんが4着目を考えたと。
しかし本書を読むと、どうも全てタラソワさんのアイデアでロシア人デザイナーが作ったものらしい。(P55)

ここでまたそもそもの疑問に回帰してしまうのですが、結局タラソワさんは真央ちゃんをどうしたかったのでしょう。
最終衣装はまさかのボンデージ?
少なくとも私が連想した貴族的退廃美、滅びの美学、または男装の麗人は、2人の考えには毛頭なかったようです。
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by honnowa | 2011-07-05 11:32 |
前回の記事の続きです。
真央ちゃんのこと以外にも多くの発見がありました。
内容に触れますので、まだ知りたくない方はスルーをお願いします。


フィギュアスケートという競技をする上で、浅田真央選手は資質、容姿、柔軟性の他、フィギュアの盛んな地で生まれ育ったこと、協力的な両親、よいライバルでもあった姉の存在等、とても恵まれていたのに、ファンからみて唯一悩ましかったのがコーチ陣でした。
素晴らしい先生方と出会ってはいるのですがチームになりきれていなかったので、昨シーズンに佐藤コーチに決まった時はほっとしたものです。

佐藤信夫コーチについて彼女はこう語っています。
「信夫先生には、自分(真央)の状態や意見などを、ちゃんと言葉にして、伝えるように心がけています」(P27)
言葉の問題はここ数年の懸案事項でしたから、よかった、よかった。

一方の佐藤コーチ夫妻は浅田選手にことを、
「うまいなあ」、「見とれてしまう」、「まだ、いろいろ課題はある、でも、真央にはやはり、魅力がある」(P71)
と言っておられます。
絶好調とはほど遠かった世界選手権のフリー当日の公式練習でのことです。
かつての恩師アルトゥニアン氏の言葉「真央の武器は美しさ」と重なります。

私は彼女の演技はたとえ転倒も含む調子のよくなかった内容でも、何度でも繰り返し動画を視続けることがあります。
初見こそ辛く残念な気持ちになりますが、二回目見ると点数ほど悪く思えず、やはりその美しさに魅了されます。
彼女の演技は、どの試合、どのEX、どのショーでも、出来に差があっても全て美しい。
その彼女に夫妻は「その良い面をもっと出せるように、これから一緒にがんばっていこう」(P82)と伝えます。
ダイヤの原石をこれまでのコーチや振付師も磨いてきましたが、これからは佐藤両コーチ、そして小塚コーチが技術的に磨いて下さいます。
職人的なエッジの研磨のように、丁寧に。
ファンとしてはこの上もない喜びがこの先待っています。
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by honnowa | 2011-07-03 15:22 |