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ニュートラルな気づき 


by honnowa
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『国宝源氏物語絵巻と平成復元模写』展 7 『柏木二』

『柏木二』 (加藤純子作)
  (図録『よみがえる源氏物語絵巻』よりP18)
    女三宮と通じ、自責の念にかられる柏木は、重い病気にかかる。柏木の病状を心配さ
  れた帝の命により、急に柏木は権大納言に昇進することとなった。その祝いをかね見舞い
  に訪れた友人夕霧に対し、柏木は苦しい息の下からも、自分の亡くなった後に妻落葉の
  宮のことを託し、自分の過ちをほのめかし、源氏にそれとなく詫びてくれるよう頼みつつ、
  別れを告げる。

『柏木二』は平成復元模写、原本の国宝『源氏物語絵巻』とも徳川美術館のサイトで観ることができますので、ご確認ください。
さて展示のキャプションでも、図録にも、美術館内での映像解説でも取り上げられていたのが、夕霧の装束の色のことです。
絵の中央、横に臥しているのが柏木、彼を見舞っているのが夕霧です。
原本では、夕霧の衣装はやや紫がかった薄いグレーにみえますが、科学調査により蘇芳のような染料の存在を確認できたそうです。
これは桜襲(さくらがさね)という裏が赤や紫、表が白という重なりで、表にほんのりと裏の赤が映る衣装の色目を表現するのに、実際にそのように描いたのではないかということです。
そして復元模写でもそのように塗りました。
ところが実際に復元模写を見ると、その赤みがまったく見えません。
照明やガラスケースや、はたまたわたしの視力が悪いのか・・・

ほんの数年前まで左右ともに1.5の視力を誇っていたので、こういう場合、わたしが見えなければ本当に見えないんだと自信を持って断じることができたのですが、現在視力ぼろぼろです。
次の免許更新どうしよう・・・ (ペーパーですけど)

ハイビジョンの映像や、図録でもほんのり赤みが差しているのがわかるのですが、実物はどうしてもグレーの濃淡にしか見えませんでした。
おそらく徳川美術館等のサイトで画像を見ても、赤みはわからないと思います。
展示室の照明の色合いによるものかもしれませんが、ただ原本の絵巻を制作し、実際に楽しんだ平安時代の人々は、そんなに明るい光の下では見ていないはずです。
図録が原寸より一回り小さいだけなので(縦21.9センチ→17センチ)、図録をあちこちいろいろな明るさで観てみたのですが、よほど明るいか(窓際)、暗い状態でない限り、案外色の区別はつくものとわかりました。
そうなるとどうして展示室で赤みが見えなかったんでしょう。
気になってもう一度展示室に戻って見直してみても、見えなかったのです。

もしかしたらこの模写は16年の完成ですから、色というか絵の具が落ち着いてきて本当に見えなくなっているのかもしれません。
そうするとまた年数が経ち、絵の具の変化で、色が見えてきたりするものかもしれません。
またいつか公開される順番が来るでしょうから、そのときもう一度よく確認したいと思います。
by honnowa | 2007-12-17 06:59 | 美術