若桑みどり氏の理想の図書館
2007年 12月 02日
氏は、さきごろお亡くなりになられた美術史家です。
特にイタリア美術がご専門の方が、どうして図書館について述べていらっしゃるのか、またいつ、どのような機会でまとめられたものなのかわからないのですが、わたしは図書館学に関心があるものですから、記録に残すことにします。 (リンクは張っていません)
若桑みどり様の
『6.2 大学図書館に期待するもの -利用者の立場から理想の図書館を考える-』 (http://www.tulips.tsukuba.ac.jp/pub/tojo/archive/Choken/2000/6_2.html)
この中で、以下の部分がとても気に入ってしまいました。
読むだけでうっとりとしてしまいます。
・「瞑想的生(Vita Contemplativa)」の環境
イタリアには図書館で生涯を送る人々がいる。それをリチェルカトーレ(探求者)と
いう。大学の教授か,退職した教師か,素人学者か,市民か,それは問題ではない。
図書館の原点である修道院,信心会図書館には「瞑想・沈思」の空間的環境がある。
疲労した研究者には花の咲き乱れる中庭と噴水,ベンチがある。
日本の大学の図書館はどうなのでしょう。
わたしは去年と今年と、二つの大学の図書館を見学する機会を得ました。
ともに新しくできたばかりの校舎に置かれた図書館で、開放的できれいでした。
特に昨年見学した図書館は、音楽大学ということもあり、女子学生さん仕様というのか、まるでカフェの中の図書館といった趣でした。
それもまたいいのですけどね。
みなさんは、理想の図書館、お気に入りの図書館がありますか。
わたしは自分の卒業した中学校の図書室が、今でも忘れられません。
当時、築30年の木造校舎の中に置かれた、本棚もテーブルも椅子もすべて木製で年季が入った図書室の雰囲気は、上記の二つの大学や、地元の現在の県立図書館よりもよほど「瞑想的生」に満ちていました。
それはそこに通いつめる本に取り付かれた子供の熱狂が、そういう気を発していたからなのかもしれません。