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ニュートラルな気づき 


by honnowa
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湿地の保全

29日は湿地保全の勉強会ということで、葦毛(いもう)湿原で活動していらっしゃる自然観察員のNa先生のお話を伺いました。

葦毛湿原というのは愛知県で最大の湿地であり、湿原の面積は約3.2haです。
わが八龍の湿地面積は0.5haです。
ちなみに日本で一番大きな釧路湿原は面積19,430haです。
東京の都心がすっぽり入る大きさだそうです。

さて葦毛湿原はもともときっちりと基礎調査を行っていましたが、危機感を抱いたNa先生が植生回復実験を行い、そのデータを基に具体的な回復作業を進めています。
やり方としては、過去のデータから、どの場所でどの植物からどの植物へ遷移したのか調べ、2つの1㎡の実験枠を用意し、1つはそのままに、もう1つは遷移後増えた植物を抜いて比較をするというものです。
例えばシラタマホシクサからヌマガヤに遷移したところのヌマガヤを抜くと、シラタマホシクサが回復したりします。
ほおっておいたところではほぼシラタマホシクサは生えなくなりました。
これを数年観察するのです。
しかもさまざまな植物ごとに実施するのです。
その上での具体的実践です。
でも一度にはやらないことが大切だと先生はおっしゃいました。
そうですね。
自然に遷移したものを急激に変えるのは不自然ですし、それは自然にとっても作業に関わる方々にとってもストレスになるだろうと思います。
無理のない形で遷移を後退させるのがいいのでしょう。

  葦毛湿原保護の会様のサイトより 『植生回復』のページ

さて葦毛湿原は三方を山に囲まれていますが、その裾野はコナラなどの落葉広葉樹ですが、上の方は杉、檜の国有林です。
その杉、檜を少し減らさないと、湿地の乾燥化が進むのではないか、という質問が出ました。
Na先生も危惧しているとのことでした。
そして葦毛湿地が一番拡大したのは、実は山火事の後の年だったそうです。
つまり木が減って湿地の植物のほうに水分が回ったからなのです。
そして北海道では植生回復のために火入れをする場所もあるのだそうです。
この方法は広い北海道以外ではちょっと難しいでしょう。
火事はよくないですよ、危ないです。
でも万一なってしまっても、自然というものはたくましく乗り切っていくものだと感心しました。
by honnowa | 2007-09-30 06:04 | 自然