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ニュートラルな気づき 


by honnowa
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井伏鱒二 『山椒魚』読了

タイトル    山椒魚
          (小学館文庫新選クラシックス 『多甚古村 山椒魚』所収)
著 者     井伏鱒二
発行所     小学館
発行日     2000年6月1日初版第一刷発行
Cコード    C0192 (一般 文庫 ※日本文学詩歌)
内 容     体が大きくなり岩屋から出られなくなった山椒魚の心境
動 機     井伏鱒二が読みたくなったから  (07/3/10の記事参照)     
私の分類   娯楽
感 想     同じ本に所収されている『本日休診』も読み始めましたが、井伏鱒二、面白い
  です。
  面白真面目の極みというでしょうか。
  ふざけてないですし、ユーモアを加えようというサービス精神とも違うし、ほのぼのして暖
  かいのです。
  筋がわかって何度も読みたくなるというのは、文体の魅力です。
  かしこまった言い回しが真面目におかしいです。
  蝦が笑い転げる場面も生真面目な表現で綴り、けして読者を笑わかそうとしている訳では
  ないのですが笑えます。
  キャッ、キャッという笑い声が聞こえそうです。
  そしてラスト、蛙は実にいい奴だ。
  この許すという気持ちはとても偉大だ。
  神が人間を許したなどの大げさなものでもなく、先に降参した負け惜しみでもない、自分と
  同じ頑固者という共感が許させた気持ちのよい許し方なのです。
  そして山椒魚、「友情を瞳に込めて」というのがなんとも可愛い。
  
※ Cコードでいうと日本文学詩歌なのですが、内容は小説集です。

  
by honnowa | 2007-03-12 07:48 |