ニュートラルな気づき 


by honnowa
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『浅田真央 Book for Charity』 吉田順 5 究極のスケーター その2

先日から感想を綴っています『浅田真央 Book for Charity』の締め切りは本日の17時半でした。
本の収益は日本赤十字社を通して、東日本大震災の義援金として送られます。
最終的にはどれくらいになるのでしょうか。

特設サイト及び学研さんの広報ブログ

前回の記事の続きです。
内容に触れますので、まだ知りたくない方はスルーをお願いします。


P80より。
文章の後の(アルファベット)は便宜上つけたものです。

藤森氏は語る。
「まずはスケーティング技術です。アイスダンスでは、『3歩でトップスピード』というのが理想です。一歩の蹴りで進める距離をどれだけ長くできるか。また、どれだけ早く加速できるか。体に覚えこませるには、ふつうの人なら3年はかかります。でも真央ちゃんなら、そんなに時間をかけずに身につけてくるでしょう」 ……(A)

アイスダンスでは、ジャンプがない分、より高度なスケーティング技術が要求される。そのハイレベルな滑りも、真央なら習得できると藤森氏は語った。 ……(B)

さらに藤森氏は、真央ののびしろについてこう続けた。
「ジャンプは、高度なエッジワーク技術を覚えてスピードが上がれば、高さが出て、飛距離も延びて、もっとダイナミックなものになります。エッジ系のジャンプはもちろん、トウ系のジャンプも、もっと高いGOEをもらえるようになります。 ……(C)

スピンは、レベル4を狙ったものにしていきたい。あと、GOEも3にしたいですね。これについては、すぐにできると思います。 ……(D)

それからステップ。ステップを踏みながら加速していく高度な技術があるんです。足を踏むかえるたびに、スピードが上がっていくという。アイスダンスでも、その技術を使えるのはトップレベルの選手たちだけです。真央ちゃんは、まだそこまでは行っていません。でも行くでしょう、もうすぐ」 ……(E)


(A) 浅田選手の最速がどれだけ速いのか速くないのかはわかりませんが、加速するための漕いでいる印象はありません。
女子選手の場合、スピードに定評のある選手は必死で漕いでます。
3歩どころではありません。
私は演技中のスピードスケート体勢で漕ぐ姿に興ざめしてしまうのですよね。
なので 必死で漕いでスピードを上げる選手 > 振りが多く単純に漕いでいるだけの時間が少ないからスピードが遅いとされる選手 の持ち上げられ方が予てから不思議でした。
フィギュアスケートなのに何故なんでしょう。
浅田選手は「3歩でトップスピード」というのはできているのではないかと思うのです。
ただそのTOPスピードが速いと言われる選手よりも遅いのかしれませんが、あれだけいろいろ全身を動かしているので、速さで敵わなくても仕方ありません。
とファンは思うのですが、採点したり解説したりする人たちはどうもそう思っていないようです。
試合に出場する競技者として評価を上げるためには、彼女はTOPスピードを上げなければなりません。

(B) あの・・・ 真央ちゃんはジャンプをこなさなければならないシングルスケーターなんですけど。
でも見たい。
アイスダンスと比較してこれを解説者に言わしめたのは、何といっても超絶ステップのタラソワ・プログラムをこなしたからでしょう。
ステップが武器のシングル選手はこれまでいますが、アイスダンスの選手レベルを期待されてしまう選手はこれまでいたでしょうか。

(C) スピードとジャンプの関係は、私は前記事の②に書いたとおり必ずしも正の相関関係にあるとは思っていません。
またたいていの男子選手は女子よりスピードがあり、ジャンプの高さも幅もありますが、一様に高い加点をもらっているわけではありません。
また多くの男子のジャンプは女子より豪快で迫力がありますが、必ずしも正確で美しいとは限りません。
(C)で言われていることはまだ私の理解の外にあるのですが、浅田選手のみならず、フィギュアスケートの技術そのものののびしろなのかもしれません。

(D) 今の採点は敢えてレベル3で加点を狙うほうのが得点が高くなりやすく、またレベルを得るためにプログラムに似合わない体勢のスピンを入れるくらいなら、より良い演技の為にはむしろレベル4とGOE3にこだわることもないのですが、ジャッジもされる藤森さんは得点よりも究極のスケーターを目指すほうを期待されているのかな?

(E) (A)といい(E)といい、藤森さんの念頭にあるのはまさかプルシェンコ選手なのでしょうか。
男子でなく女子選手にそれを求めちゃいますか。
でも彼は現在の採点基準では教科書選手ではないですよね。
悪い見本にされたという話も伝わっていますが。
さて嫌味は置いておいて、ステップを踏みながら加速していくといえばこの演技をみてみましょう。

hayatan999様 「Evgeni Plushenko 2003 World Qualifying Round」


2003年世界選手権の予選の演技ですが、予選であること、ライバルのヤグディンの欠場で、本人の目標は単なる予選突破や本選の試運転でなく、満点を幾つ出すかだったのでしょうか。
あらためて視ると演技後半のスピードもさることながら、出だしから1:36までのゆったり感もいいですね。
ゆったり大きく間をもたせて、けしてスピードを出していないのに、4T-3T-3Loと3A―3Tを決めています。
「ジャン」で導入部が終わり、不適な笑みが映る間にあっという間に加速しています。
またスピンの終わり3:45から後の加速も素晴らしい。
変幻自在のスピードコントロールです。
解説者が驚嘆するストレートラインステップは、まるで早回し映像のようですね。
リンクが狭くてあっという間に届いてしまいました。
現行ルールではこういう豪快なステップはもう見られないので残念です。


さてこうしてプロが期待する浅田真央選手を本書に書かれている文面から読み取ってみたのですが、まとめると、

・3回のトリプルアクセル
・アイススケート選手並の高度なスケーティング技術
・ディープエッジ使い
・TOPスピードを上げる
・速い助走スピード+高いジャンプ+長い飛距離+速い回転+ダイナミックさ
・速いスピン回転
・エッジワーク技術を駆使した表現
・3歩でTOPスピードに乗る
・スピンレベル4+GOE3
・ステップを踏みながらの加速


実現したら凄そうなのですが、これって真央ちゃん?という気がします。
女性らしい優美さや、彼女らしい軽やかさは一体どこへ?
今ある浅田選手の延長でなく、解体再生した別の選手像のようです。
ではそういう真央ちゃんを見たいかどうかとなると、私は見たい半分、躊躇い半分です。
ただ本書を読んでほっとするのは、佐藤コーチが現在の彼女の魅力を理解していて、その良い面をもっと生かせるよう、出せるように技術改良する方針であることです。
佐藤コーチを信じて、コーチと真央ちゃんの目指す「究極のスケーター」になれますように。
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by honnowa | 2011-07-13 23:38 | パフォーマンス