ニュートラルな気づき 


by honnowa
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『浅田真央 Book for Charity』 吉田順 3 シュニトケの「タンゴ」

2010-11シーズンのSPであるシュニトケの「タンゴ」については、本書を読む前からタチアナ・タラソワの意図を探っていたので、この機会に綴っておこうと思います。
内容に触れますので、まだ知りたくない方はスルーをお願いします。
今回は私の空想部分がかなりを締めているので、くれぐれも本書に書かれていることと誤解されないようお願いします。


前シーズン、浅田選手はジャンプ修正による技術の組み立て直しにより、完璧なの演技をついに披露することなく終わってしまいました。
それでもFS「愛の夢」は四大陸選手権でセミ完成版ができ、私はそれなりに満足を得たのですが、SPの方はジャンプもさることながら、曲のイメージを固めることがついにできなかったように見えました。
その一端は衣装にも現れ、FSが2着目で固定したのに対し、SPは4着替え、そのいずれもイメージが嵌っていたとは思えませんでした。
みなさんはどの衣装が良かったでしょうか。
私は強いて選べば、全日本の通称「薔薇ジャー」です。
ちょうど全ての衣装の演技を1本の動画にまとめて下さった方がいらっしゃいましたので視てみましょう

wice2018様 「浅田真央(mao asada) 10-11 SP 5種類の衣装で ミラクル・タンゴ!」


「薔薇ジャー」は動画の冒頭と最後です。
初見はギョッとしましたが、それでも胸の赤の位置と分量のバランスがうまく取れています。
薔薇ジャー以上に物議を醸した世戦の衣装も上半身の赤のおかげで暗くなりすぎるのを免れています。
(赤い布は背中も前部と同じようにして、スカート部の赤は無くすか後に垂らしたほうのがよかったかな)
それに対してGPシリーズと四大陸の2着は光り物を加えても、どうしても印象が翳って見えます。
(ノースリーブで上半身の黒の分量を減らすと良かったかも)
しかしどのみち「タンゴ」の曲に合っていたとは思えませんでした。

そもそもタラソワさんはこの難しい曲を浅田選手にあてがって、何をさせたかったのでしょう。
大人の女性のセクシーさや格好良さを表現をさせたかったのでしょうか。
それならばもっとラテン的なダンス曲らしいタンゴでよかった。
それとも退廃的な色気の演出だったでしょうか。
何人・組かの若手が使ったのがジャズの「Feeling Good」です。
浅田選手にやってもらいたかったわけではありませんが、例えばこの曲なら狙いはわかりやすいです。

比較例に同じ世戦に出場したスウェーデンのヨシ・ヘルゲソン選手のFSの動画です。
まだ17歳でした。

RiservaISUMosca2011様
「ISU Mosca 2011 -11/27- LADIES FS - Joshi HELGESSON 30/04/2011」


Music
Palladio by Karl Jenkins
Feeling Good
Palladio by Karl Jenkins
(Choreographer:Susanne Seger, Stanick Jeanette)

曲は3部構成で動画の1:54から3:48あたりが「Feeling Good」です。
衣装も浅田選手と似ています。
(浅田選手の世戦の衣装、申し訳ありませんがヘルゲソン選手が着たほうが似合いそう)

こうしてシュニトケの「タンゴ」のテーマは何か、そしてどんな衣装なら合っていたのか、いろいろ考えをめぐらせてゆくうちに私が辿り着いたのは、貴族社会の崩壊と悲劇に繋がるような退廃美で、衣装は、形は「愛の夢」のような長袖、ハイネック、背中を大きく開けたもので、スカートは左右の片側だけ長くしたタイトでシンプルに、色はチョコレートのCMに着ていたような濃い目のシャンパンゴールド、布地の表面をラインストーンとレースでゴージャスに飾ったものが似合いそうと、ファンの手前勝手な妄想を楽しんでいたのですが、・・・

本書により私のイメージは完全に違っていたことがわかりました。
どうせ、どうせ素人の感性ですから・・・ こういうのもまた愉しいさ。

真央ちゃんは初めてこの曲の音源を聴いた時に「拍子が刻まれるごとに力が沸いて来るような、エネルギッシュな曲。それに、今まで滑ったことのない、独特のリズム」(P35)と感じたそうです。
確かに「今まで滑ったことのない、独特のリズム」ですが、「力が沸いて来るような、エネルギッシュな曲」かと問われると、私にはよくわかりません。
私の第一印象はエキセントリックでちょっとミステリアスで、スケートでも陸上のダンスでもまるでイメージがわきませんでした。

「自分が滑っている姿を想像して、心がすごくわくわくしたんです。タンゴはやったことがなかったですし、聴いた瞬間に、『これだ』って思いました」(P35)
えっ! えっ! タンゴは試合ではないけど、とても評判の良かったEXプロがあったじゃない?
私のつっこみはともかく、真央ちゃんは即座に滑る姿をイメージできたようです。
彼女が捉えたイメージが、初披露した中国のアイスショーでの格好良さだったのか、と今、記事を書きながら気付きました。
ショーの練習動画も含めて、あの演技は確かによかった。
完成すればこのプロはどれだけすごいことになることやらと、大いに期待して試合が始まるのを待っておりました。
そうそう、男装の麗人風衣装もよいかもと思ったわ。

その期待を抱いて試合初戦のNHK杯を観に行ったので、演技の自信のなさもさることながら、ややかわいい衣装にも首をかしげてしまいました。
そこでまた想像を逞しくして、今回タラソワさんは衣装を真央ちゃんに任せたのではないかと考えたのです。
自主性を重んずるというか、感性を磨く修行として。
1着目は真央ちゃんが考え(おなかのチャームポイントがいかにも彼女らしいのと、全体的には無難路線)、2着目は舞ちゃんが考え(大胆セクシーも抵抗なさそうな感じ)、決め手がなく3着目は地元の業者さんに依頼してみて、みかねたタラソワさんが4着目を考えたと。
しかし本書を読むと、どうも全てタラソワさんのアイデアでロシア人デザイナーが作ったものらしい。(P55)

ここでまたそもそもの疑問に回帰してしまうのですが、結局タラソワさんは真央ちゃんをどうしたかったのでしょう。
最終衣装はまさかのボンデージ?
少なくとも私が連想した貴族的退廃美、滅びの美学、または男装の麗人は、2人の考えには毛頭なかったようです。
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by honnowa | 2011-07-05 11:32 |